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アンガーマネジメントとは?「怒り」の仕組みと解消方法4選

新入社員の指導の際についムカムカしたり、横柄な態度をとる上司に対してカッとなったり、取引先からの理不尽な要求に対し怒りを覚えてしまう。

ビジネスマンには自分の「怒り」の感情と対峙し、ストレスを感じる場面が多々ありますが、「怒り」を感じることが悪いことではないと認識しておきましょう。この記事では「怒り」という感情がどうして起こるのか、怒りの感情とうまく付き合うためのアンガーマネジメントの方法を4つご紹介します。

 

アンガーマネジメントとは?実践するメリット

自分で出来るボイトレ

自分の中にある「怒り」感情に適切な対処をしていくスキルが、アンガーマネジメント(アングリーコントロール)です。

イライラを露骨に表現したり、必要以上に相手を叱りつけてしまうと、自分が怒りを感じている人(対象)との関係が悪くなるだけでなく、それを見ている周りの人間にも不快な思いが伝染していきます。

こうした「イライラ」が蔓延する職場環境を改善するために、アンガーマネジメント教育を研修やセミナーに取り入れる企業も増えています。

 

「怒り」を感じることは悪いことではない

人間の感情の中でも「怒り」は特に取り扱いが難しいものです。怒るのをひたすら我慢してストレスが溜まっていく一方、怒りに任せて行動しても相手や周りとの人間関係が悪くなります。

怒りというのは人間にとって自然な感情のひとつであり、怒りを感じることは決して悪いことではありません。「怒りを感じるのは良くないことだ。がまんしなければいけない」と考えるのではなく、

 

「怒り」の感情が、どんなときに生じるのか、どう対処すればよいのか、

 

理解を深めて上手に付き合うことで、ストレスを軽減し、職場環境や人間関係を良好にすることができます。

 

怒りの感情は3つに分類される

そもそも、人間はどのような状況でイライラするのでしょうか。

対人関係療法の専門家である水島広子氏によれば、人間が怒りを感じる場面は、大きく3つに分類できるとしています。

 

①予定が狂ったときの怒り

  • レストランで注文した料理がなかなか出てこないとき。
  • 注文と違う料理が出てきたとき。
  • 上司に仕事を言いつけられたとき。 

 

②誰かがルールを破っているときの怒り

  • 混雑したカフェの店内で荷物を置いて席を2つ占領している人を見たとき。
  • 行列に割り込んでいる人を見たとき。

 

③自分の弱点や欠点を突かれたときの怒り

  • 学歴に引け目を感じている人の前で誰かが出身校の話をしたとき
  • 「女だから」という言い方がとても嫌いなのに、誰かが何気なくその言葉を口にしたとき

 

このような場合に、私たち人間は怒りの感情が生まれることがあります。

 

この3つの状況に共通するのが、「自分が何か被害を受けている」という感覚です。「予定が狂わされた」「自分はルールを守っているのにあの人だけずるい」「言われたくないことを言われた」と感じると、実際の被害はなかったとしても、私たちは自分が被害を受けたように感じてしまいます。

 

怒りは第二次感情

何かしらネガティブ要因(被害)が自分に降りかかることで、苛立ち、不安、悲しみ、寂しさなどの一次感情が起こります。「怒り」は、こうした一次感情を発端として生まれる二次感情です。つまり、イライラの根本原因である一次感情をいかにうまく解決するかが、アンガーマネジメントのカギになります。

 

今からできる「怒り」の対処方法4選

怒りを覚える原因がわかったら、次は実際にその感情をうまく消化していきましょう。この記事では、産業医・難波克行の著書『会社に殺されない働き方』からアンガーマネジメントの実践方法4つを取り上げます。

 

①カウントバック

瞬間的な怒りの感情はあまり長くは続かず、6秒ほどすればおさまっていくとされています。それを応用して、怒りを感じたときに、1、2、3、4、5、6と頭の中でゆっくり数えるようにしてみましょう。怒りの感情に身を任せ反射的に行動せずに、ただ数を数えるだけで怒りの感情がどこかに消えていくことがあります。

 

②ストップシンキング

こちらも単純な対処法ですが、怒りを感じそうなときに「止まれ!」「ストップ!」「考えるな!」などと心の中で自分自身に言い聞かせます。そうすることで、怒りに流されそうな思考や行動にブレーキがかかり、効果的です。

 

③タイムアウト

これは、怒りを感じたときに、いったんその場を離れて冷静さを取り戻すときに使う方法です。「冷静に話し合いたいので、また〇時に(あるいは、またあとで)」と相手に告げて、その場を離れるようにしてみましょう。その場を離れることで、怒りにかられて不適切な言動をしてしまう心配は少なくなります。その後、コーヒーを飲んだり、散歩をしたり、軽いストレッチをしたりして、気分を落ち着かせれば、落ち着いて話し合いができたり、「そこまで怒ることじゃないな」と冷静な判断ができます。

 

④スケールテクニック

怒りを全く感じていない穏やかな状態を0、最大級の制御不能な怒りを10として、怒りを感じるたびに点数をつける方法です。「3点、不愉快」「5点、憤慨」などと、それぞれの点数に応じた自分なりの言葉を使うようにしましょう。怒りの点数に応じて、例えば、1~4点は深呼吸する、5点以上はタイムアウトするなど、あらかじめ決めておいた対処法を実施するようにしましょう。

 

まとめ:被害者意識を手放してイライラ状態から抜け出そう!

怒りの感情は「心の悲鳴」であり、何か困ってパニックになっていることをあらわすサインです。しかし、単に自分の予定が狂っただけなのか、自分が我慢しているルールを誰かが守っていないからなのか、自分が気にしていることを言われたからなのか、一度立ち止まって分析してみると、怒りの原因は取るに足らないことだったなんてことも。

 

いつまでもその場にとどまり、被害者意識にひたっているうちは、怒りの感情はなかなかおさまりません。アンガーマネジメントをうまく活用し、被害者意識を手放して現実的な判断ができるように落ち着いてみる。それが、怒りの感情をコントロールするコツです。

 


■出典 :難波克行『会社に殺されない働き方』クロスメディア・パブリッシング

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