MENTAL

目標は生産性を下げる!?プレッシャーに勝ち、究極の集中「フロー」に入るには

疲労・ストレスに効く、集中力や判断力を高めるなど様々な効果があり、Googleなど一流企業が次々に取り入れていることで話題のマインドフルネス。『脳がクリアになるマインドフルネス仕事術』(クロスメディア・パブリッシング)は、「禅僧の精神科医」として現代のビジネスパーソンが抱える多様な問題を解決してきた川野泰周氏による”ビジネスパーソンのためのマインドフルネス入門書”だ。「マインドフルネスとはなにか?」「どんな効果があるのか?」「どうやってやるのか?」そんな疑問に川野氏が答える。

Beautiful athlete on a race track is ready to run

目標がプレッシャーになっていませんか?

 

——とある禅寺にて。ビジネスパーソン・A氏と、マインドフルネスの専門家である「先生」の会話——

先生:おや、顔が暗いですね。何か気がかりなことでもあるのですか?

A氏:鋭いですね、先生……。実は今度新商品企画案を提出することになっているのです。上司からそのことを聞いた当時は「最高の企画を5件以上提出します!」と意気込みましたが、お恥ずかしいことに、未だ半分もできていません……。プレッシャーからか、最近、寝つきが悪かったり、仕事中も上の空になってしまったりするんです。

先生:なるほど。責任感の強さも災いして、目標と現状とのギャップに苦しんで いるようですね。では、そうやってあなたを苦しめるものなど捨ててしまいましょう。

A氏:えっ? 捨てる?

先生:ええ。捨てるのです、目標を。

 

目標は生産性を下げる

 

「期待に応えなければ」

「達成できなかったらどうしよう」

「本当にこれでいいのだろうか」

緊張や不安、イライラ……。目標に頭を支配されていると、雑念で頭がいっぱいになってしまいます。そうなるとかえって集中力が下がり、生産性が落ちてしまうのです。

世間一般には、「目標が念頭にあるからこそ、結果を出すためにがんばれる」と考えられています。もちろん目標がモチベーションになるのはいいことです。数値目標があってもいいし、達成目標があってもいいでしょう。

しかし、大切なのは切り替えです。実際に仕事に取り掛かったとき、一気にその目標を手放してすべきことに集中できるかどうか。仕事中に必要なのは、いったん目標を忘れ、目の前の作業に集中して没頭すること。だから、「目標を立てるのをやめなさい」ではなく「捨てなさい」と言っているのです。

 

究極の集中状態「フロー」になるには

 

私は学生時代、陸上短距離の選手でした。ベストタイムは手動計時で10 秒5。こ のタイムが出たとき、私は「 10秒5を出そう」と思いながら走ったわけではありま せん。一歩一歩の足の動きにただただ集中していた。走り終え、記録掲示板を見た ときにはじめて、自己ベストを更新していることに気づいたのです。このとき私は、 次のことを身をもって実感しました。

目標に捉われていないほうが自分の真のポテンシャルを発揮でき、より早く目標を達成できる。

スポーツ選手がインタビューで「まわりの景色がゆっくりに見え、動いているのは自分の体だけのように感じた」などと言うのを聞いたことはありませんか? このような没頭状態を「フロー」、そこからさらに一歩進んだ究極の集中状態を「ゾーン」と呼びます。

フロー状態のとき、人間は時に信じられないような集中力を発揮して、驚異的なパフォーマンスを見せます。

もちろん、フローに入ってゆく前の段階においては、 目標を達成しようという向上心、挑戦者心理は重要です。現にフローの提唱者である心理学者チクセントミハイもフローの構成要件の一つとして「明確な目的があること」という項目を挙げています。

しかし、肝心なのはフローに入るまさにその瞬間です。そのとき、人は一つひとつの動きに集中し、目標を「忘れて」いるのです。 目標にとらわれ、「これを達成しなければいけない」という意識にとらわれ続けていると、フローにはなれません。

 

目標は雑念である!?

 

「受注 20件達成」という目標があったとします。頭のなかに到達すべき結果や具体的な数値が残っている状態では、それはただの雑念でしかありません。目標を掲げ て「がんばろう」となるのは、最初の一瞬でいい。

あなたのまわりに、「目標達成のためにがんばるぞ」と言いながら、全然達成できていないような人はいませんか。「今週 20件受注!」と自分を鼓舞するだけで、蓋を開けてみればまったくできていない。これこそが「目標」という言葉に支配されている状態です。目標という雑念にばかり意識が向いて、実際の仕事では本来の力を発揮できていないのです。

運動や勉強、創作活動など、我を忘れるほど何かに没頭した 経験が思い当たる方は多いのではないでしょうか。おそらくそのとき、脳内から雑念は消え去り、無意識的にフロー状態に到達していたと言えるでしょう。

このフロー状態に「意図的に」到達するにはどうしたらいいか― ここで、マインドフルネスのトレーニングが活きてきます。基本のトレーニング「呼吸瞑想」と「ラベリング」については、書籍で詳しく解説していますので、ぜひチェックしてみてください。

 


『脳がクリアになるマインドフルネス仕事術』

マインドフルネス書影2

川野氏がマインドフルネスを解説する本書。序章では、「そもそもマインドフルネスとは一体なんなのか?」「どんな効能があるのか?」といった素朴な疑問を一から解消していきます。
第1章では、「呼吸瞑想」「歩行瞑想」など、マインドフルネスを実践するための 基本的な方法を解説。

第2章では、マインドフルネスを実生活において活かすための具体的な方法をお話しします。「満員電車が辛い」「仕事中に集中が途切れる「休日も仕事のことが頭を離れない」など、現代ビジネスパーソンのストレス源を14 点 取り上げ、「つり革瞑想」「キーアクション」などの解決策を図解入りで示しています。
第3章では、現代においてマインドフルネスが求められる背景と、科学的エビデンスを検証。

第4章では、マインドフルネスを習慣にした人がどのような変化を得られ、周囲にどんな影響をもたらしていくのかをお伝えしていきます。

目次

  • 序章 脳をクリアにするマインドフルネスとは
  • 第1章 マインドフルになる方法

・基本メソッドその① マインドフルな思考法

・基本メソッドその② 呼吸瞑想と歩行瞑想

  • 第2章 仕事のストレスをなくす14のメソッド

出勤前のストレス/集中できないストレス/マルチタスクのストレス/失敗した時のストレス/アイデアが出てこないストレス/疲れが取れないストレス……

  • 第3章 なぜ今、マインドフルネスなのか

・世界のトップリーダーが熱中する理由

・仕事のパフォーマンスを高める10の効能

  • 第4章 マインドフルネスは生き方を変える
  • 読者特典 毎日快適にはたらく!「疲れ」解消事典