MENTAL

明るい自分を取り戻そう!「香り」と「笑顔」で即効・イライラ解消

「はたらく人のコンディショニング事典」(著:岩崎一郎、松村和夏、渡部卓)より

イライラには「香り」と「笑顔」が効く

Profile of a beautiful woman relaxing lying on a couch at home

仕事でのミスが続いたり、職場の人間関係がうまくいかなかったり。仕事もなかなか片付かないし、思うように進められない自分にイライラ。そんな中、涼しげに仕事を終わらせて帰る同僚の姿にさらにイライラ……。仕事に追われ余裕がないと、つい眉間にしわを寄せてしまいがちです。そんな表情で仕事をしてもパフォーマンスは上がりません。しかし一度始まったイライラの連鎖は、なかなか自分で断ち切ることが難しいもの。

そんな時は、自分の中で感情を整理するのは諦めてしまいましょう!自分の感情といえども、簡単に私たちの意思には従ってくれません。

でも大丈夫。イライラは体の外側からの働きかけですぐになくすことができるものです。体の内側に溜まったイライラを手っ取り早く解消するには2つの方法があります。それは、「香り」と「笑顔」に頼る方法です。次項からはその理由を詳しく説明していきます。

嗅覚だけが感情にダイレクトに働く感覚

Young woman enjoying tender fragrance of white chrysanthemum

まず、「香り」がイライラ解消に有効な理由から説明します。

五感の中で、脳の感情をつかさどる部位にダイレクトに働きかけることができる感覚はたった1つ。それが嗅覚なのです。

脳の感情をつかさどる部位を「大脳辺縁系」と言います。それに対し思考や言語をつかさどるのが「大脳新皮質」 と呼ばれる部位です。同じ感覚でもそれぞれ情報伝達の流れに違いがあります。視覚や触覚など他の感覚情報は視床下部を経て、まず「大脳新皮質」へ行きます。それから感情をつかさどる「大脳辺縁系」に到達するのです。それに対し、嗅覚だけは「大脳辺縁系」に直接アクセスします。

例えば満天の星空を目にしたとき、脳では何が起こるでしょうか。まず「大脳新皮質」が「夜空に輝くたくさんの星」と感覚情報を認識します。そのプロセスを経た上で、「きれいだ」「美しい」という感情が生まれています。しかし花の香りを嗅いだとき、このプロセスはありません。嗅覚が感情を司る「大脳辺縁系」に直接届くため、考えるより先に感情が変わるのです。

この情報伝達の仕組みを利用すると、感情を調節することができるようになります。好きな香りやいい匂いを嗅ぐと、気持ちが落ち着いたり、明るくなったりするというわけです。イライラがどうにも収まらない、落ち込んだ気分が回復しないというときには、嗅覚を刺激するのが手軽で効果的な手段と言えます。

香りとの付き合い方

essential oils and natural cosmetics with fresh herbal leaves and flowers for beauty treatment

アロマオイルやお香、香水を使って、上手に香りを利用してみましょう。職場でアロマなどをたきにくいという方もいらっしゃるかもしれません。そんな時でも大丈夫。香りを楽しむ方法は1つではありません。

ラベンダーやタイムの小さな鉢をデスクに置いてみましょう。また、おしゃれの一環としてハンカチにアロマオイルを一滴垂らすのもおすすめです。最近では車の中やホールなどの公共スペースでも、アロマの香りを出すようなデバイスが開発されています。森林浴などでも森の香りを感じることができ、科学的にその効果も実証されつつあります。

「笑顔をつくる」から楽しくなれる

Beautiful young woman health teeth close up and charming smile. Isolated over white background, asian beauty

次は「笑顔」の効用です。イライラしているときこそ、笑顔をつくりましょう。

「だから忙しくて それどころじゃないんだって」

そんな意見もごもっとも。楽しいから笑う、嬉しいから笑顔になると考えるのが普通です。ところが、どうもそうではないらしいということが近年の実験結果から明らかになってきています。

独オット・フォン・ゲリーナ・マグデブルグ大学のミュンテ博士らは、箸を使った実験で「笑顔に似た表情をつくるとドーパミンの神経活動が変わる」ことを発見しました。

箸を縦にして唇でくわえると鎮痛の表情、横にして歯でくわえると笑顔と似たような表情筋が使われます。すると強制的に笑顔に似た表情になります。ドーパミンの動きに変化が見られたのは後者の箸を横にしてくわえたときでした。ドーパミンは脳の報酬系で快楽に関係した神経伝達物質です。このことから、楽しいから笑顔をつくるというより、笑顔をつくると楽しくなるという逆因果があるということがわかります。

また、箸を横にくわえていくつかの単語を「楽しい」と「悲しい」のどちらの感情に 属するかを分類していくと、楽しい単語を認識するまでの時間が悲しい単語を認識する 時間よりも短くなることもわかりました。つまり、笑顔には、楽しいものを見出す能力 を高めてくれる働きがあるのです。

終わりに

Young businesswoman with coffee cup looking at male colleague writing notes at desk in office

忙しくて焦っているとき、なんとなくカリカリしているなと感じたとき、自分の意思だけでうまく処理するのは難しいことです。そんな時は、自分の好きな香りを用意したり、意識的に笑顔を浮かべてみてください。香りの心地よさは感情の心地よさです。顔の表情を変えることは感情のバランスを変えることです。自分が「心地良い」と感じる香りを嗅いで上手に気持ちの切り替えを行い、意識的に笑顔をつくることで心に余裕を持ちましょう。そうすれば仕事のパフォーマンスも自然と上がり、快適な毎日を過ごせるはずです。

 関連書籍のご案内

記事の内容をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。