MENTAL

目的論で考えよう。未来への視点でポジティブに!

「自分を変える習慣力」(著:三浦将)より

目的論で考える習慣とは

Satisfied with work done. Happy young business man looking out windows in office.

トヨタが持つノウハウとして、現場で起こっている事象の原因追求のために、「なぜ?」を5回問うというやり方があります。元副社長 大野耐一氏が著書「トヨタ生産方式」の中で「一つの事象に対して、5回の「なぜ」をぶつけてみたことはあるだろうか?」と言ったことが始まりとされています。

トヨタでは、これを習慣になるまで徹底させるといいます。これは問題の真の原因に到達し、問題の再発を防止するために、非常に優れた方法です。このように、仕事ができる人は、「なぜ?」という問いかけが、習慣として身についています。だから、問題が起こると無意識レベルでこの’’なぜ’’という思考が動き始めます。

問題発見が大事?

ビジネスにおいて非常に大切とされる能力は、問題発見と問題解決と言われています。「なぜ?」は、この問題発見のための最高のツールとして使われます。仕事のできる人やロジカルシンキングなどを学んだ人は、この質問を使うのが習慣になっています。だから、仕事のできる人ほど、この質問を使いがちなのです。そして、それを同じように、部下の人為的ミスにもどんどん使っていく人がいます。

実際に、ビジネススクールでロジックを鍛えてきたMBAを取りたての新任マネージャーたちなどが、よくこれをやらかして、部下との関係を悪化させていくことがあります。

視点を変える

では、どうしたらいいのか?「視点を変える」ということが解決のキーです。「なぜ?」は原因追求の質問です。原因を追及するということは、その視点は過去に行っています。過去に行って、現在起こっていることの原因を探しています。これは、言わば、過去のほじくり返しの質問です。これを人に対して行うと、言葉は悪いですが、「犯人捜し」のようにもなります。このため、人は心をガードしたり、体をこわばらせたりする状態になるのです。

視点を未来へ

"senior and junior businessman discuss something during their meeting, office background"

ここで視点を変えてみます。視点を過去から未来に持っていくのです。やりたいことは、再発防止をし、未来をより良くすることだからです。未来に視点を持っていくと、「なぜ?」という質問はどうなるでしょうか?そう、「どうしたら?」という質問になります。英語で言うと、Why?がHow?になるということです。ここで、あなたが、ミスをしてしまった部下になったつもりで、以下の文章を読んでみてください。

あなた:「すみません。○○の件で、入力ミスをしてしまい、多方面にご迷惑をかけています。」

上司:「影響を最小限にとどめる対策は打ったのか?」

あなた:「それはすでに打ってあります。」

上司:「OK。ところで、今後どうしたらいいと思う?」

あなた:「午後は集中力が落ちるので、できるだけ午前中にやるようにしたいと思います。」

上司:「他にどうしたらいい?」

あなた:「○○くんの協力を得て、ダブルチェックをするのはどうでしょうか?」

上司:「うん、良さそうだな。何か力になれることはあるか?」

あなた:「○○くんへの協力要請をお願いしてもいいでしょうか?」

上司:「よし、わかった。」

いかがでしたでしょうか?ミスをして、これからリカバリーをしていかなくてはいけない立場として、この会話によって、どんな気持ちになったでしょうか?おそらく「なぜ?」と問われたときの自己防衛的感覚から、今度はもっと自主的に解決をしようというモードになったのではないでしょうか。

「なぜ?」から「どうしたら?」へ

Business people exchange business cards after the meeting

この「どうしたら?」という考え方を、目的論で考えると言います。これは、アルフレッド・アドラーが提唱した考え方で、フロイトやユングの原因論とは対極をなすものです。

フロイトやユングなどの心理学は、どちらかというと精神的にダメージを負った人が対象になるケースが多く、そのための療法として、トラウマ治療などの原因論が採用されます。

一方、アドラーの提唱する心理学は、どちらかというと、精神的に病んでいない人が対象になることが多く、この場合は、この「どうしたら?」という、未来の可能性を追求する目的論の方がフィットするのです。

ポジティブに

Two business partners working with laptop together

あなたが属している会社や集団が、目的論で考える習慣を持った会社や集団になったら、どんな雰囲気の中で毎日の仕事に取り組めそうでしょうか?この目的論で考える習慣、まずあなた自身から始めてみるのはいかがでしょうか?

また、この習慣が身に付くことのもう一つのメリットは、潜在意識レベルで前向きで、ポジディブな人間になっていく、ということです。過去を振り返ってばかりではなく、未来に関するたくましい発想と、それを達成するための歩みを続けることのできる人間になっていきます。

アドラーの目的論の教えは、これから、企業や教育現場、子育てなど、さまざまな場面でさらに注目されていく考え方になっていくでしょう。それは、アドラー心理学の主目的が、人が自立していくことに最も大切な、自主決定性を育むことにあるからです。

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