MENTAL

「走ると食欲が刺激されて食べ過ぎる」は本当か?

「走れば脳は強くなる」(著・重森健太)より

「走りすぎると食欲が刺激されて食べ過ぎる」は根拠がない。Happy man eating pasta

体重を落とす以外にも様々なメリットがあるランニングですが、ダイエットの大堂エクササイズとしての地位は不動のものですね。特にダイエットを目的に日々ランニングを行っている方の中には、走り過ぎによる食欲の亢進を心配する人もいるようです。毎日、朝や夕方にランニングを取り入れると、かえってお腹が空いてその後の食事を食べ過ぎてしまうのではないかという不安です。今回はそんな心配を吹き飛ばす驚きの実験結果をご紹介します。

運動量と食欲の関係を明らかにする実験

Healthy lifestyle concept with diet and fitness

この実験は、運動と食欲の関係を調べるために18〜20歳の健康な成年男子、合計14名を対象に行われたものです。参加者は全員BMI30未満ですので、中肉中背、また食欲が旺盛な年代グループと言えます。参加者には前日の夜23時から水以外の食事を取らないようにしてもらい、翌朝9時から60分のウオーキング(早歩き)を実践してもらいます。その後1週間の間隔を明け、同じ条件の下で、今度はウオーキングをせずに60分間部屋でテレビ等を見ながら座って過ごしてもらいます。この両方のケースで食欲の変動、食事量、食欲を増進させるアシル化グレリンの血中濃度を比較しました。

14名の歩く速さは平均で、毎時7km、最大酸素摂取量は33.8〜55.5%でした。また、歩行時の平均心拍数は毎分137拍です。食事は1時間のウオーキングあるいは安静座位の直後、朝10時からと、その4時間後、お昼の2時に計2回与えられました。食事の内容は、炭水化物、タンパク質、脂肪を含む22品の食品が用意され、参加者には自身の食欲に応じて、食べたいものを選び好きなだけ食べていいと言う条件が課されました。

60分間の早朝早歩きをした時としない時の食欲は実は変わらない!!Side view of a woman running on the beach

結果は、ウオーキングをした場合としなかった場合において、違いは一切見られませんでした。まず、食べた食事の内容から計算された摂取エネルギーですが、ウオーキングをした場合としない場合どちらも2回の食事で1000キロカロリーを越えており、両者に違いはほぼありませんでした。また、2回の食事の合計カロリーはウオーキングをした場合では平均2202キロカロリーだったのに対し、座っていた場合は2243キロカロリーと、やはり歩行運動と摂取カロリーにはなんの相関関係も発見できなかったのです。

消費カロリーと摂取カロリーのバランスは?Smartphone with app showing BMI.

では、ダイエットには欠かせない消費カロリーと摂取カロリーの対比はどうでしょうか。60分のウオーキングで消費されたカロリーは食事で摂取したカロリーを平均で439カロリー上回っていました。つまり、朝何もせずに座っていただけの状態だと2243カロリーを摂取するだけですが、ウオーキングをするとエネルギー消費によって摂取カロリーをマイナスにする事ができるのです。

太りたくない人も安心してランニングに取り組もう!Two women happy after finishing exercises

このほか、主観的な空腹感や満腹感等の食欲に纏わる調査でも、血液中のアシル化グレリン濃度の測定を通しても、座って過ごした場合とウオーキングを行った場合に明らかな相違はみられませんでした。ちなみにこの実験は食べ盛りの若い男性を対象に行われたものですので、女性やお年寄り、また既に生活習慣病を患っている人の場合、結果に相違ができる可能性は否めません。しかし、走りすぎたことによって食欲が増すと云う考えは根拠がないと言えそうですね。ダイエットを志す人も、体重を気にする方も、食べ過ぎを恐れる事なく、安心してランニングのメリットを享受して下さい。

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