MENTAL

学校じゃ教えてくれない呼吸法の基本

「なにもしていないのに調子がいい」(著:森田敦史)より

呼吸の感覚をさらに磨く

Young girl in yoga pose

「力みにくく」「緩みやすい」呼吸状態を探す

体が力みにくく緩みやすい呼吸のニュートラルな状態を明確に探せるようにしましょう。わかりやすい方法としては、体の内側で生じる圧力の変化を捉えていくといった方法があります。

息を吸って、吸いきったところで息を止めます。体の中で強い膨らむ力を感じるでしょう。そこからほんの少し吐いて、止めます。吸いきったときほどではないにしても、まだ膨らむ圧力を感じるでしょう。そしてまた少し吐いて、止めて、というように繰り返していくと、息を止めたときに感じる圧力が小さくなることが確認できます。

そして、息を止めてもほとんど圧力を感じないところに行き着きます。

つぎに息を吐ききったところで息を止めてみます。これも体の中に強い圧力を感じるでしょう。少し吸ってまた止めて、と繰り返し、息を止めてもほとんど圧力を感じないところに行き着きます。

吸ったところから、また吐いたところから、息を止めてもほとんど圧力を感じないところが、力みにくく緩みやすい、呼吸のニュートラルになります。

体は膨らむ力が常に働き続けると緊張しやすくなり、リラックスしにくい状態になってしまいます。ふだん自分がどんな呼吸状態にいるのかといういことに注意し、今の状況、未来の体調を予測することがある程度可能になるのです。

多くの場合力みやすく緩みにくい呼吸状態にあるのではないでしょうか。ふだんどの状態にいることが大切か、どの状態に落ち着いていればいいのか、という指標になるのが、力みにくい緩みやすい、呼吸状態、つまり呼吸のニュートラルです。

体が力みにくく、緩みやすい呼吸のニュートラルをすぐに探せるようにしておくと、自分が今どの状態にいるのかを知ることができます。体の圧力を感じ捉えているということは、自らの状態・体調を管理するためにも、極めて重要な要素であることは間違いありません。

呼吸による「力み」と「緩み」を感じ取る

Uddiyana Bandha, closeup

呼吸における体の力みと緩みを体感しましょう。

息を吸っていきます。吸い続けて体の膨らむ力が強くなればなるほどに体が張って力みやすい感覚を感じることがわかるでしょうか。

吸いきったところが力みやすいピークです。

今度は吸った状態から少しずつ口から息を吐いていきます。吐くに従って膨らむ力が弱くなり、力みやすい感覚も少しずつ弱くなっていき、膨らむ力が0になった直後あたりでフッと肩や首、背中などの力が抜ける感覚がするのがわかるでしょうか。

そのままさらに吐いていくと、お腹がへこんで縮む力が強くなり、同時につらくなってまた力が入りやすくなるのがわかりますか。呼吸による力みと緩みの変化を体感してみました。ぜひ何度も深呼吸してみて、呼吸エリアによる力みと緩みを感じる練習をしてみてください。

息を吸いきったところからゆっくりと吐いていき、膨らむ力が0になり、さらに吐いたところ、呼吸のニュートラルに入ったときに体が最も力みにくい状態を何度も体験し、その感覚を刻み、記憶を強くしてください。繰り返すほどに体が楽な状態というのがどんな状態かを体で知ることができ、呼吸の力、働きに素直な体になることができるでしょう。

「力みやすさ」「緩みやすさ」をさらに体感してみる

①息を大きく吸いきったところで止めて、こぶしを握ってみましょう。このときの手・肘・肩・胸などの力が入る感覚を記憶しておきます。体が張る力につられて凄く力が入りやすいのが実感できます。これが力みやすさです。

②息を吐ききったところで止めてこぶしを握ります。同じように手・肘・肩・胸などの力が入る感覚、体が縮んでその力を強く感じ、息を吸いたくて苦しく力が入るのがわかるでしょう。

それでは①でこぶしを握ってそのままの息で力を抜いてみましょう。凄く力が抜けにくいのが実感できます。②でもこぶしの力を抜いてみましょう。これも力が抜けにくいのが実感できます。

③息を吸ってゆっくりと吐いていき、体の膨らむ力が徐々に弱くなり、膨らむ力が0に、感じなくなったところを少し過ぎたあたりで息を止め、こぶしを握ってみましょう。①や②に比べて過剰に力まないのがわかります。こぶしの力を抜けば、力も抜けやすいでしょう。

息を吸った状態のままで動くだけで体は力み、何をするにも力が入りやすくなってしまうのです。力みがいかに体を痛め、効率が悪いことであるかはいうまでもありません。いつも疲れを感じる人、体調の優れない人の多くは、このような緊張状態で動いているということなのです。

体を鍛えるという発想より、無駄な力みを起こさないという発想の方がいますぐにでき、結果もついてきやすいといえます。

体の力を抜きたいと思っても、息が抜けなければ力は抜けません。呼吸状態を調整することで力みにくく緩みやすい体に導くことができるのです。

縦呼吸と前後呼吸

Beautiful arab woman breathing fresh air with raised arms

呼吸のニュートラルの中でどのように呼吸すると良いかを体感します。体が力みやすく緩みにくい人は、縦呼吸になってしまう時間が多いといえます。縦に上下する呼吸の仕方は、吸う息を優位にさせる特徴があります。ふだん上下動する呼吸ばかりすると、吸う息が優位となり膨らむ力が常に働き、力みやすい状態となってしまいます。

力みにくく緩みやすい呼吸は、呼吸のニュートラル、息を止めても圧力を感じない状態で、お腹(おへそもしくはへそ下)がやさしく強く張るほどではない程度に膨らみ、戻るという静かな動きになります。

最大呼気点まで吸って、息を自然に出していき、膨らむ力が0になり、自然に出ていく息がなくなってから、ほんの少し吐いたときに、肩や胸・背中の力がふっと抜けます。そのまま呼吸をしようとすると、上下動する呼吸ができなくなるのです。結果的にお腹がやさしく膨らみ戻るという静かな動きになります。

以上の呼吸状態が基本です。そこから目的、用途、状況、環境に合わせて呼吸は変化しても良いですが、落ち着くところはこの基本となる呼吸状態なのです。

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