MENTAL

ストレス発散はカラオケで! 依存症予防に「歌」が効く理由

「はたらく人のコンディショニング事典」(著:岩崎一郎、松村和夏、渡部卓)よりmicrophone on stage with blue background

TAG」という言葉をご存知ですか?
T:タバコ
A:アルコール
G:ギャンブル
これらの頭文字をとって「TAG」。ストレスを溜め込まない健全な心を保つためには、このTAGと距離を置くことが大切です。その手段として有効なのが、実は「歌」に触れること。今回は依存症の危険と、歌の効力に迫ります。

依存症のメカニズム

ストレス解消に、とりあえずタバコを一本……。
確かにお酒やタバコ、ギャンブルは、手軽に快楽を得られます。気晴らしやストレス発散に利用する人も多いでしょう。しかしTAGには高い依存性があります。度を越せばそれぞれニコチン依存症、アルコール依存症、ギャンブル依存症に陥ってしまう危険性をはらんでいるのです。

「TAG、ひとつもやらないから大丈夫!」

そんな人もご用心。依存症の穴はいたるところに開いています。例えば、

・薬物
・セックス
・買い物
・ネットゲーム

こういったものはすべて側坐核と呼ばれる報酬系のドーパミンを増加させます。報酬系とは脳にやる気を与えている大切な部分ですが、一方で依存症リスクとも深く関わっているのです。

alcohol addiction - drunk businessman holding a glass of whiskey on the table

TAGのような依存症を引き起こしやすいものは、強い刺激性をもたらします。すると脳は「この感覚は生死にかかわる重大なものだ」という勘違い状態を生み出してしまいます。

前頭前野は思考や創造性を担う脳の再考中枢です。刺激され誤作動を起こした脳は、前頭前野に感覚とシナリオを詳しく記憶するよう海馬に指示します。そして脳内には、その刺激に関する新しい回路ができあがるのです。

通常何かを学ぶとき、その回路ができあがるとドーパミンレベルは次第に下がっていきます。しかし依存症の場合は違います。その刺激を受けるたびにドーパミンレベルが溢れていき、欲求がますます強化されていきます。

 

「最初は1日3本も吸えば十分だったのに、今では1日1ケースでも物足りなさを感じる。」

 

こういった依存症の症状は、以上のようなメカニズムで成り立っています。

また、前頭前野には意思決定の働きがあります。依存症になると間違った選択をするようになるだけでなく、反射的な行動を止められなくなってしまいます。そのため、やめたくてもやめられないという症状が引き起こされるのです。

 

歌の「カタルシス」効果でストレスフリー

Can't stop laughing when they are together

依存症のリスクが低いストレス発散方法で、健全に気晴らしができれば依存症は予防できます。それに有効なのが「歌」。「歌」には、なんと心を浄化する作用もあるのです。

泣きたいとき、落ち込んでいるとき、そのときの気持ちに合った歌を聴いたり歌ったりして気分がスッキリした経験、ありませんか?

これは心の浄化作用「カタルシス」 の効果によるものです。 「カタルシス」とは、もとは体内の浄化を意味するギリシャの言葉。哲学者アリストテレスがカタルシスを悲劇の効用として用いたことから、心理的用語として使われる ようになりました。彼の著書『詩学』には、「悲劇が観客の心に怖れと憐みを呼び起こすことで精神を浄化する」と記されています。

心理的用語としては「抑圧されていた心 理を意識化させ、鬱積した感情を除去することで症状を改善しようとする精神療法」を 指しますが、さらにそこから一般化して、「心の中にあるわだかまりが何かのきっかけ で一気に解消すること」を言います。

 

例えばカラオケに行って歌を歌うとしましょう。大きな声を出してスッキリすると同 時に、普段できない自己表現ができるので、カタルシス効果が作用し、よどんでいた心 がさっぱりと洗われたような状態になります。

歌詞には「好き」「涙」「ドキドキする」「ありがとう」「~したい」など、日常的にはなかなか言葉にしにくい感情表現がたくさん含まれています。それを口に出すことで、心にしまいこんでいる感情が解放されてスッキリすることができるのです。

歌の呼吸でリラックスモードに切り替える

Japanese woman holding breath in a park

歌うことは、呼吸法の考え方からみても有効です。通常、呼吸のペースは1分間に15 ~20 回程度です。しかし 歌っている最中は、自然と1分間に 10回程度に。ゆったりとした深い呼吸をすると、β – エンドルフィン などの幸福ホルモンと呼ばれる物質やドーパミンなどの快楽ホルモンが分泌されます。すると自然とリラックスモードになれるのです。

今は一人でカラオケに行く人も増えていますし、 ネットでも配信がされています。自宅でもカラオケが可能な時代です。「自分は歌が下手だか ら」と人前で歌うのに抵抗がある人でも、機会をつくって実践してみてはいかがでしょう。

歌えなくてもOK! 自己表現でストレス発散

Girl paints a coloring book for adults with crayons

それでも歌に抵抗があるという方は、こんな方法もあります。

例えば、話すことが好きな人は、誰かに話を聞いてもらうと良いでしょう。文章を書くことが好きな人は、ノートに自分の思いを書き綴る。絵を描くことが好きな人は、童心に戻って思い切り落書きする。映画が好きな人は、好きな映画を観る。

その人の興味関心にあった方法が一番効果が高いはずです。

 

 

タバコやアルコールは通院したりグッズを使用することで無理なくやめることができます。しかし依存症を断ち切ることは苦しみを伴うもの。現代はストレス過多の時代です。お手軽なストレス発散が依存症に陥ってしまう前に、適度な距離感でつき合いたいところですよね。ぜひ、自分に合ったやり方を見つけ、心の中の苦しさや悲しさといった感情を外に出し、心を浄化してください。

関連書籍のご案内

記事の内容をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。