MENTAL

効率のよいランニングとは?運動強度の測定の仕方を知ろう

「走れば脳は強くなる」(著:重森健太)より

知っておきたいランニング時の運動強度

Outdoor cross-country running in summer sunshine concept for exercising, fitness and healthy lifestyle

健康のため、脳の活性化のため、ランニングはとても有効です。しかしみなさん、自分の運動量が適切なものであるかきちんと把握できていますか?
ランニングは距離やスピードも大切ですが、一番意識してほしいのは、運動強度です。
運動強度についてよく理解することで、効率のよい運動をすることができます。

運動強度の測り方には「脈拍数(心拍数)」と「RPE(自覚的運動強度)」がありますが、脈拍測定を推奨します。日々の運動や活動がどの程度の運動強度に当たるのかを自覚してもらうためにはとても有効で、さらに簡単な手段だからです。

 

運動強度を知るために、「脈拍」を把握する

脈拍数は心臓や血管の状態についておおよその推測ができることから、健康状態を知る上でも非常に重要なデータとなります。そこでますは、正しい測定の仕方を知っておきましょう。

まず、橈骨(とうこつ)動脈に人差し指、中指、薬指の3本を揃えて軽く当て、1分間の脈拍数をカウントします。不整脈がない場合は、15秒(4倍する)や30秒(2倍する)の間の脈拍数をカウントする方法でも問題ありません。

一般的な成人の脈拍数の正常値は1分間に60回から100回の範囲(安静時)が目安とされており、一般的に男性より女性の方が回数が若干多いようです。安静時における脈拍数の平均値としては、一般成人男性の場合で1分間に65~75回程度、一般成人女性の場合で1分間に70~80回程度といった回数がだいたいの目安とされています。
脈拍が100回を超えた場合は「頻脈」、60回未満は「徐脈」と呼ばれ、不整脈と診断されます。運動前後に脈拍を測定するくせをつけ、その都度変化量を確認するとよいでしょう。

Female drinking a fresh water from bottle.

正しく脈を測り、計算式で自分に合った強度を設定する

脈の正しい測り方がわかったら、次は目標設定です。様々な方法がありますが、その中でもおすすめなのが、「カルボーネン法」というもの。
計算式
【目標心拍数=(最大心拍数-安静時心拍数)×運動強度+安静時心拍数】
で数値を割り出す、最もポピュラーな方法です。

ここでいう心拍数は脈拍で求めるのがお勧めです。
最大心拍数は「(220-年齢)で求めます。
例として、30歳で安静時の脈拍が60拍/分の人が70%の強度で運動したいばいいの目標心拍数を求めてみましょう。
「最大心拍数は(220-年齢)」ですから「199拍/分」です。運動強度は70%の強度ですから、0.7をあてはめます。すると次のような計算式になります。

【目標心拍数=((220-30)-60)×0.7+60=172拍/分】

脂肪燃焼に最も効果的なのは、強度50~70%程度の運動と言われています。目安としては、運動不足の人は50パーセントの強度、運動習慣のある人は70%の強度で設定するとよいでしょう。

Portrait of athletic mature woman resting after jogging. Beautiful senior blonde woman running at the park on a sunny day. Female runner listening to music while jogging.

 

ボルグスケールなら強度設定がもっと簡単

「カルボーネン法」では計算するのが億劫だとか、脈を測ること自体がなかなか定着しないといった場合には、「ボルグスケール」という手法をお勧めします。

なんだか難しそうな響きですが、これはある一定の基準に従って、自分が感じている感覚を表現すればいいだけの簡単な指標です。体にかかる運動負荷を本品がどの程度の「きつさ」として感じているかを測定するもので、全身持久性の測定・評価や有酸素運動時における効果的な強度設定に際して有効であるといわれています。

全体の疲労度を20点とし、段階によって次の点数に10を掛けていくと、だいたいの脈拍数が推定できるという仕組みです。

・非常にきつい……19点
・かなりきつい……17点
・きつい……15点
・ややきつい……13点
・楽である……11点
・かなり楽である……9点
・非常に楽である……7点
・安静時状態……6点

つまり、「きつい」「ややきつい」「楽」など、その瞬間に感じていることをそのまま表現するだけで、そのときのおおよその脈拍が推定できるというわけです
有酸素運動の場合、「ややきつい」(13点は脈拍で言うとおおよそ130拍/分)の感覚が得られれば、酸素をたくさん使った良い運動をしているという評価になります。

ただし、ボルグスケールは主観的な要素があるため、できるだけ脈拍を測定し、カルボーネン法で目標心拍数を算出する方法にチャレンジしていただきたいと思います。

Low angle photo of young couple jogging outdoor in park

ちょうどいい運動強度を体験するためには

普段から運動している人でも、その強度設定が正しいものかどうかはあやしいものです。
例えば、ウォーキングを日常的にやっている人であっても、ゆっくりと会話をしながら歩いている場合は、海馬に影響を与えるほどの運動負荷になっていない可能性があります。
したがって、有酸素運動を習慣化したい場合は、運動強度の設定の仕方を覚えることから始める必要があります。有酸素運動の強度設定の体験には、「その場駆け足」が簡単で負荷を認識しやすい運動です。

①3分間「その場で駆け足」をする
②運動後に目標心拍数に到達しているかどうかを確認する
(※運動強度60~80%の「きつさ」を実感する)

手順はこの2つだけです。

例えば30歳男性で安静時の脈拍が60拍/分の人が3分間その場駆け足をした後で脈拍を測定したときに、162拍/分という結果が出たとします。この男性は有酸素運動を体験することができたでしょうか?
仮にこの男性が70%の強度を体験したい場合、カルボーネン式にあてはめると、
【目標心拍数=((220-30)-60)×0.7+60=172拍/分】
ということになります。

この男性は、運動後に162拍/分ということでしたので、あともう少し早い駆け足にするか、時間を延長してあげると目標心拍数に到達できます。「運動をするときは、これくらいのきつさを感じるくらい頑張ってくださいね」という体験をしてもらうには、ちょうどよい方法です。運動習慣のない人はぜひ試してみてください。

このように運動強度を体験することは、ランニンをする際にとても重要です。試してみることで、自分の体とより向き合うことができるはずです。
すでに走っている人もそうでない人も、一度正しい運動強度を体験してみてください。

関連書籍のご案内

記事の内容をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。
 

 

今、あなたにオススメ