MENTAL

心がポキっと折れる前に読みたい「メンタルが強くなる三つの習慣」

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――――渡部 卓

ストレスは仕事のパフォーマンスを著しく下げます。物事が思いどおりに運ばずイライラしたり、上司の心ないひとことに落ち込んだり……常に平常心でいたいと思いつつも、なかなか厳しいのが現実です。では、どうしたらいいのか。『明日に疲れを持ち越さない プロフェッショナルの仕事術』『はたらく人のコンディショニング事典』(クロスメディア・パブリッシング)の著者である渡部卓氏に、メンタル強化に役立つ習慣についてお聞きしました。

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ストレスに強い人・弱い人

――ストレスに強い人と弱い人の違いはどこにあるのでしょうか?

ひとことで言えば、意識と行動の差です。ストレスについて正しく理解し、自分の心の変化に気がつき、早めに対処して深刻化するのを予防する。こうした意識を持ち、最適な行動がとれるかどうかが、ストレス耐性の差を作り出しています。

一般的にストレスは「悪」として扱われがちですが、一方で「やる気を高める」「パフォーマンスが向上する」といった効果を持つことが実証されています。たしかにストレスのない状態は理想的に映ります。ノーストレスの人生だったらどんなにか楽だろうと思う人もいるでしょう。しかし、ストレスがまったくない状態が続けば、人間は成長できなくなっていまいます。

大切なのは、ストレスそのものをなくそうとするのではなく、どうストレスとつき合っていくか。つまり柔道でいえば「受け身技を磨くこと」が大切なのです。

 

――なるほど、受けとめ方でストレス耐性が違ってくるということですね。具体的には、どう変えていったらいいのでしょうか?

心理学の分野でストレス対処法として紹介されている「ABC理論」を活用します。「D」と「E」を加え「ABCDE」理論としてお伝えする場合もありますが、より簡単に実践できるよう、ここでは「ABC理論」を紹介します。

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ABC理論

A(Activating Event)=ストレスの原因となる出来事

B(Belief)=信念や価値観、思い込み、先入観などで形づくられる自分なりの受け止め方・捉え方(認知)

C(Consequence)=結果・影響、つまり外面に表れる感情的・行動的な反応

 

私たちは普段、ある出来事(A)を受けた結果として、感情や行動(C)が生まれていると考えています。しかし、両者の間には自分なりの受け止め方・捉え方(B)というフィルターがあり、そこを通過することで感情や行動は様々に変化しています。ストレスを感じるとき、多くの人はAだけに注目しがちですが、すでに起こってしまった事実は変えることも消すこともできません。一方で、自分なりの受け止め方・捉え方はいかようにも変えることができ、それにより結果も変わってくるのです。

 

たとえば会社からリストラを通告されたとします。その瞬間は大きなショックを受けると思いますが、「定年まで勤めたかったが仕方がない。これを機に昔からの夢だった○○にチャレンジしよう」などと前向きに考えることを「Rational Belief(合理的な認知)」と言います。「理想どおりになってほしいが、いつもそうなるわけではない」と、物事を柔軟に捉える姿勢が、長い目で見れば、うつや不安の穴にはまり込むことを防いでくれるのです。

一方、「家のローンも子どもの学費もあり、絶対に定年まで辞めるわけにはいかない」と考えてしまうような場合を「Irrational Belief(非合理的な認知)」と言います。「こうあるべき」「絶対に○○でなければ」という願望・思い込みが強すぎると、理想と現実の狭間で悩むようになってしまいます。うつや不安は、この非合理的な認知から生まれるのです。

 

このように、物事に対する受け止め方…捉え方を見つめ直すことが強いメンタルの秘訣と言えます。もちろん、国民性や文化、宗教、育った環境によっても個人差はありますが、日頃から前向きな思考を意識し習慣づけていけば、必ず変えることができます。

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