MENTAL

ランニングのポイントは情報収集!走って判断力を鍛える方法。

「走れば脳は強くなる」(著:重森健太)より

判断力は総合力

Drawn brain hovered over the human hand on the gray wall background

何かを判断しなければならないとき、主に最終決定を行っているのは前頭葉です。ただし、脳の各機能は基本的に全て連携し合っています。とくに判断力はその集大成とも言えるような、総合的な能力です。

例えば、認知能力テストでよく行われる「ストループ検査」のようにルーチンなものは、ほぼ前頭葉だけで判断できますが、それまでの経験や過去の記憶が関係しているときには、海馬の働きが影響してきます。

各機能は連携している

もちろん、司令塔である前頭葉が萎縮するなどして機能が低下してしまうと、最終的なジャッジが出せなくなり、結果として判断が鈍くなります。

しかし、たとえ前頭葉が機能していても、海馬など他の関係するところが弱っていると、この場合でも判断力が弱ってしまうのです。

情報収集しながら走る

Young hipster man in gray sweatshirt running in town, main street

判断力を高めていくためには、記憶力、集中力、発想力、思考力を鍛える走り方を実践することが近道となります。

とくに情報収集しながら走るという癖をつけておくと、状況判断力も磨かれると同時に、引き出しやネタが増えます。

記憶力を鍛えるには

記憶力を鍛えるためには、走るコースにバリエーションを持たせることが必要です。固定された同じコースばかり走るよりも、どんどん新しい道を開拓していった方が、脳にとってはずっと刺激的だからです。

また、走りながら出会った人の顔や特徴を覚えたり、オリジナルのルートマップを作ると記憶力を鍛えるトレーニングになります。

集中力を鍛えるには

集中力を鍛えるためには、デュアルタスク・トレーニングを行いながらのランニングがおすすめです。デュアルタスク・トレーニングとは、2つのことを同時に行う「ながら動作」のことです。ながら動作を行うと、前頭葉のワーキングメモリが活性化されます。

例えば、両手を使ってひとりでやる「ひとりじゃんけん」を行いながらランニングをすると、集中力を分散させ、ランニングをより複雑な作業にします。作業を「複雑化」させることによって前頭葉を鍛えます。

発想力を鍛えるには

一時的に発想力を高めたい場合には、運動強度90%の走りを3分~5分間行うだけでも十分に効果が期待できます。思い切り走り、心拍数を一気に上げる。そしてその後一息つく。すると、前頭葉に新鮮な酸素を含んだ血液が大量に送り込まれ、ひらめきが生まれたり、思考がクリアになったりします。

また、スタンフォード大学の研究者によって、人は座っているときよりも、動いているときの方が、平均で約60%もクリエイティビティを発揮すると証明されています。もしも時間があれば、外に出て軽く散歩をしてみるのもおすすめです。

思考力を鍛えるには

運動後に整理運動とも呼ばれているクールダウンをしっかりと行うことで、筋肉内に留まったままの血液を循環させます。そして脳などに必要な血液が送り込まれます。

このように走った直後はゆっくりとペースダウンさせていき、最後に軽いストレッチを行ってから体を休めるようにしましょう。運動を終えてまもなく脳に血が戻ってきて、鋭い思考が生まれます。

マラソン大会に出てみる

marathon runners on the street

マラソン大会に出るというのもトレーニングになるでしょう。判断力には「計画性」や「自信」が必要だからです。

①目標を立てて実行する

②成功体験を味わう

③自信が生まれる

④判断力の強化につながる

マラソン大会に出ることで、この一連の流れから「計画性」と「自信」の両方が鍛えられます。私は毎年、ゼミの学生たちと「柏原シティキャンパスマラソン」という地域のマラソン大会に出場していますが、目標に向かって皆で練習していくなかで団結力も高まりますし、いいこと尽くめという気がします。

そもそも、走ること自体が「自分はいいことをしている」という自己肯定感を生む行為です。昨今では全国津々浦々、世界中で様々なマラソン大会が開催されています。マラソン大会となると膝が重くなるという人も、一度だまされたと思ってエントリーしてみてはいかがでしょうか。

忙しくてもできるトレーニング

Side view portrait of a young woman running by the beach

忙しくてランニングをする時間がなかなかとれないという人にお勧めなのが、「インターバル速歩」というトレーニングです。大股早歩きとひとりじゃんけんの繰り返しで、海馬と前頭葉を同時に鍛えることが出来ます。

手順としては、

①大股でできるだけ早く歩く(3分間)

②ひとりじゃんけんしながら大股でゆっくり歩く(3分間)

という行為を、30分ほど交互に行うというものです。

インターバル速歩で脳を鍛える

大股早歩きは、姿勢よく、目線は真っ直ぐ保ち、腕をしっかりと振ります。この大股早歩きで海馬を刺激しつつ、ひとりじゃんけん(デュアルタスク)を組み合わせることによって、同時に前頭葉も刺激することができます。

お手軽かつお得なエクササイズなので、普段あまり運動していない人や、体力がない人でも簡単に続けられます。ちょっとした時間があるときや、外出先や通勤途中などで試してみてください。

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