MENTAL

ランニングでできる脳の活性化!走ると頭が冴える理由。

「走れば脳は強くなる」(著:重森健太)より

走ると仕事ができるようになる

young fitness woman jumping rope at seaside

走ることで最も鍛えられるのはどこだと思いますか?

それは「海馬」と「前頭葉」です。

体を動かすことで脳が刺激され、脳機能がアップし、仕事効率もよくなる。さらにドーパミンやセトロニンが放出されるため、気持ちが前向きになる。

こうした効果が積み重なり、結果として年収が高くなる。経営者などエグゼクティグと言われる人たちランナーが多いのも、あながち偶然ではないのかもしれません。

足を動かすだけで脳が刺激される

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筋肉を動かすと、その中にある感覚器から信号が発せられ、脳が活性化されます。

特に足は、筋肉量が多く感覚器が集中しているので、走ってここを動かすと、絶大な効果が得られるというわけです。

この足の筋肉からの信号だけで、記憶・発想・想像力が10%増大するとも言われています。

血流改善で脳に栄養が行きわたる

更に、筋肉は心臓から送られてきた血液を送り返すという「ポンプ」の役割を担っています。酸素を沢山含んだ血液が脳に行き渡ることで、脳は更に活性化されます。

走った後の血流反応を見ると、とくに真っ赤に反応しているのが海馬と前頭葉。走ると頭がスッキリすると感じるのはこのためです。

脳細胞が増える

Illustration of the thought processes in the brain

ランニングで血のめぐりがよくなり、脳内が新鮮な酸素を含んだ血液で満たされると、脳細胞が増えるという現象が起こります(ニューロン新生)。

脳細胞が増えるというのは、バイパスが増えていくのと似ています。

バイパスが増えると全体的に交通の便がよくなり、移動スピードが速くなりますよね。これと同じように、脳細胞が増えると、細胞同士をつなぐ部分(シナプス)が太く、強く、しっかりとしてくることで連結が強化され、情報伝達のスピードが加速していくといったイメージです。

海馬が大きくなる

ラットを使った研究ではすでに言われていたことでしたが、2010年のエリクソン博士らの研究報告によって、ヒトレベルで実証されました。

健康な高齢者120名を対象に、1年間有酸素運動をするグループと、ストレッチをするグループに分け、半年後、1年後というスパンでそれぞれの脳の容量を比較しました。

そして、有酸素運動を続けて行ったグループのみ、順調に海馬の容量が増え続けたことを報告しました。

年齢と共に少しずつ萎縮し衰えていくとされていた海馬が、走ることで元の大きさに戻るという画期的な発見でした。

脳細胞の成長因子「BDNF」が増える

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イリノイ大学のクラマー博士の研究は、有酸素運動により「BDNF(神経栄養因子)」という物質も増え、脳内で新たな神経細胞が生み出すことを促してくれるというものでした。

実は早歩きだけでなく、息が上がるぐらいの中程度の有酸素運動を継続的に実行すると、年をとっても神経細胞(ニューロン)が新しく再生されたり、毛細血管が増加することが分かっています。

有酸素運動によって、脳内で傷ついた毛細血管の代わりに、新しい毛細血管が作られます。それによって、さらに新しい神経細胞(ニューロン)ができ、シナプスも生み出されるので、一度衰えた「脳内ネットワーク」を強化することが出来るのです。

ストレス反応の仕組み

Man hiding under laptop

ストレス反応は太古の昔、まだ人間が狩りを行っていた頃の原始的な生活に合わせて作られたシステムです。そのため、肉体的攻撃から逃れたり戦ったりするようにできています。

まず、外部からの攻撃要素を察知すると、自律神経を調節する脳部位「視床下部」の命令で、複数のホルモンが放出されます。その中の一つ「コルチゾール」というホルモンには抗炎症作用があり、怪我や打撲に備えて分泌されます。

コルチゾールが留まってしまう

「ストレス=怪我や打撲を伴うもの」という図式が当てはまっていた狩りの時代はよかったのですが、情報・競争社会の現代では、ストレスから肉体的な怪我や打撲を負う可能性はありません。

分泌されたコルチゾールは消費されず、長期間体内に留まることになります。結果、行き場を失ったコルチゾールは、脳の記憶中枢の海馬や快楽中枢の扁桃核に毒となって作用するのです。

この状態が続くと、残ったコルチゾールが脳の海馬や扁桃核にダメージを与え、集中力の欠如、記憶力の低下、不愉快な気分を生じさせてしまうというわけです。

一日30分のランで心が強くなる

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イライラや疲れを感じた時、ネガティブな気持ちが晴れない時には、とにかく走ってみることをお勧めします。

走ることで、うつ病予防の薬(抗不安剤)に使われている「ガンマアミノ酸(GABA)」の分泌も促されるため、脳内のストレス連鎖を断ち切ることが出来るのです。運動がうつ病患者に対して治療的に働く、つまり症状を改善させるという報告は次第に増えています。

適度な運動で強い心を

アメリカのスポーツ医学誌で報告された「うつ症状を訴える人と日常実践する運動量との関係を横断的に調べた研究結果」では、ウォーキングのような中程度の運動を1週間に150分間実践した結果、うつ病改善が見られたと報告されています。

これは適度な運動によって、「BDNF(神経栄養因子)」が増え、結果として抗ストレス力を高めることが出来たためと考えられます。嫌なことがあったら、とにかく走る。ランを習慣化すれば、ストレスに負けない強い心を手に入れることができます。

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