MENTAL

最強の脳は走って作る!脳トレゲームよりも有酸素運動が効果的な理由。

「走れば脳は強くなる」(著:重森健太)より

普通の生活は脳を退化させる

"Running triathlon athlete man. Runner triathlete training for ironman on Hawaii. Young Male athlete running in red compression top on volcano in Kailua-Kona, Big Island, Hawaii. Click for more:"

走ることと脳の話を始める前に、一つ質問です。

普段あなたはどんな毎日を過ごしていますか?

一日の流れを思い浮かべて、どれぐらい体を動かしているか確かめてみてください。

 

・通勤は電車か車

・駅構内では階段が隣にあっても、エスカレーターの長蛇の列に並ぶ

・会社ではデスクワーク中心で、長時間同じ姿勢で座っている

・ランチも会社の食堂や近くの店で済ませるのでほぼ歩かない

・会議室までの移動はもちろんエレベーター

・帰りの電車の中では基本的にスマホをいじっている

・早く家に帰れても、テレビやネットサーフィンでだらだら過ごす。

・週末は疲れて寝ているか、軽く買い物にいくだけ

もし、こんな「動かない毎日」を送っているとしたら、あなたの脳は徐々に退化しはじめています。

 

脳と心はつながっている

体は脳のスイッチのようなもので、体を動かせばそれだけ脳が活性化されます。

逆に動かない毎日を送っていると、脳への刺激が少なくなり、衰えていってしまうのです。

かつて私たち人類は400万年もの長きにわたって狩猟採集生活を続け、お腹がすいたら獲物を求めてはるか遠い土地まで移動するというように、圧倒的な活動量の中で脳を鍛え進化してきました。

一方、現代はどうでしょうか。自分で機会をつくらない限り、走ることはおろか、歩くこともままなりません。体はどんどん衰えて、脳機能も低下していきます。

 

現代の日常=動かない毎日。

Business concept, working in office

また、日々目にするものといえば、パソコンやスマホ、テレビといって「画面」ばかり。これらは一見、多くの情報量に触れているように感じますが、実は狭い空間で一日中真っ白な壁を見続けていることに近い状態です。

 

ずっと近くの代わり映えのないものばかり見ていると、脳に刺激が伝わらず、使わない部分がどんどん萎縮していきます。あらゆること、ものが効率化され、何をするにも便利になった現代では、普通に生活していては体も脳も衰えていく一方です。

 

意識的に体を動かさなければ、気がついたときには使い物にならない脳になってしまう可能性だってあるのです。

 

走ると脳機能が高まる!

Outdoor cross-country running in early sunrise concept for exercising, fitness and healthy lifestyle

ところで、人はいつからボケると思いますか?

認知症の発症は60歳からというのが基準ですが、その原因となるたんぱく質「アミロイドβ(Aβ)」は、その20年も前から脳に蓄積していきます。

 

つまり、生涯ボケずに健康な脳を保ちたいのであれば、30代、40代から脳を鍛えておく必要があるのです。働き盛りをどう過ごすかで、将来の脳レベルが決まるといってもいいでしょう。

 

そこでおすすめしたいのが、ランニング。ランニングには、ダイエットやシェイプアップ、体力維持などを期待する人が多いと思いますが、実はそれ以上に、脳を活性化し若返らせるという効果があるのです。

 

有酸素運動が脳によいという事実

Man running at autumn during sunrise

その一例として、アメリカのピッツバーグ大学での研究をご紹介します。

実験では、認知症ではない299人の被験者が普段からどの程度の距離を歩いているかを調査し、彼らの脳をMRIや脳機能検査で比較しました。

 

その結果、1週間で9km~14km歩いている人は、歩いていない人と比べて、脳の萎縮が進んでいなかったということがわかりました。つまり、普段から運動をすることで「脳の老化を遅らせることができる」ということが実証されたのです。

この場合はランニングではなく、ウォーキングですが、有酸素運動を日常に取り入れることの有用性をはっきりと示しています。

 

脳トレゲームでは意味がない?

Modern guy typing on a smartphone.

「走るのはどうにも億劫だ」「脳を鍛えるのであれば、脳トレゲームでいいしゃないか」と思う人もいるでしょう。しかし、その考えこそが最も危険であり、年齢以上に脳を衰えさせる要因といえるのです。

 

イギリスのロンドン大学などで行われた、脳トレの効果を検証する大規模な実験では、その効果を否定する結果が発表されています。

実験は、

①論理的思考力・問題解決能力を高めるゲーム(積み木崩しなど)を行うグループ

②短期記憶や視空間認知力といった機能を高めるゲーム(ジグソーパズルなど)を行うグループ

③脳トレとは無関係のゲームを行うグループ

 

の3つのグループに分かれて行われました。それぞれゲームを行う前後で認知テストを受けるという、シンプルな内容ですが、結果は衝撃的でした。

 

ゲームで脳は鍛えられない

一般的にあるとされている脳トレの効果を考えれば、①や②の脳トレゲームを行ったグループに成績向上が見られそうですが、なんと、どのグループにもほとんど変化が見られなかったのです。

 

ただし、ゲームをして何の変化も得られなかったわけではありません。積み木くずしやジグソーパズルなど、ゲーム自体の成績には向上が見られました。

 

ランニングは科学的に証明できる脳トレだ

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つまり、この実験では、「脳トレゲームをいくら行ったところで、その行為が上手くなるだけ。肝心の脳の活性化は見られない。」という結論が出てしまったのです。これは世界的権威のある雑誌「ネイチャー」で紹介されていることから、信頼性の高い結果であると言えます。

 

もちろん、パズルやゲーム程度の刺激は日常生活に溢れていますから、それを脳トレというのもどうかという見方もあります。しかし「科学的に効果が証明できる脳トレは有酸素運動、つまり走ることだ」というのが最近の定説と言えるでしょう。

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