FOOD

欧米で規制されている”狂った殺人油”?トランス脂肪酸との付き合い方。

世界中をめぐる著者が、現地の健康情報を毎週お届けします。

 

前回までのあらまし。

ジンバブエの宿で朝飯を食べていたら、毒物呼ばわりされたお口のなかのマーガリンです。

マーガリンが、ネズミすら食べない、ゴキブリも近寄らないと毛嫌いされ、トランス脂肪酸と呼ばれる黒幕とショートニングなる共犯者を知った先週。

ショートニングはパンやクッキーやお菓子と、様々な食品をサクッ、パリッと美味しく見せる引き立て役として世界中を席巻。特にファストフードのポテトを揚げる油として、大活躍中です。

美味いけれど危ない奴と気づいた欧米では、ニューヨークの飲食店でトランス脂肪酸の使用を禁止。

来年の2018年には、アメリカ全土で食品としての使用が全廃決定。

海外ではマ○ドやケ○タを御用達とし、ともすれば週5もポテトを食らう我が家は、追い詰められるトランス脂肪酸ともに悔い改めなければならないのか?

今さら食い改めたくない我らの、命をかけた弁明レポートです。

 

川の左手側奥がビクトリアの滝。橋はビクトリアフォールズブリッジです。17、8年前、愛妻Yukoがこの橋からバンジージャンプ。骨にヒビが入って生還。数年前、欧米人の女性は、綱が切れて落下。川にはワニがいます。

川の左手側奥がビクトリアの滝。橋はビクトリアフォールズブリッジです。17、8年前、愛妻Yukoがこの橋からバンジージャンプ。骨にヒビが入って生還。数年前、欧米人の女性は、綱が切れて落下。川にはワニがいます。

 

思えば結婚して20年間、1mgもマーガリンを食べてなかった我が家ですが、たまたまジンバブエでバターが品切れだったために勃発した、今回のマーガリン騒動。

10年以上も前から「狂った油」だの「殺人の油」と恐れられていたのに、その存在すら知らなかった体たらくです。

パンに塗られたトランス脂肪酸を噛み締めつつ最新ニュースに目を通せば、アメリカに続いてカナダでも食品使用の禁止が決定。

トランス脂肪酸は、今もっともトレンドな危険物なのです。

ところが日本では禁止どころか表示規制すらなく、流行が去ることによって流行を知る我が家ですから、知る由もありません。

なぜ、重箱の隅の隅にまで規制を張り巡らす厚生労働省をして、世界一神経質でクレーマー体質な日本人がついていながら、野放し状態なのか?

非常にわかりにくいトランス脂肪酸業界の、込み入った詳細を大胆に省略して、日米を比較して浮かぶ真実です。

 

アメリカ人が1日に食べるトランス脂肪酸の総量は、食事全体の2.6%です。

2.6%がどれだけ意味のある数値かと言えば、WHOの勧告は「1%以上食うべからず」。

つまり警告の2.6倍も食べているアメリカ人。←ここ重要です。

対する日本人は、たったの0.3~0.6%以下。

アメリカ人の4分の1ほどです。

 

次にトランス脂肪酸の悪行を並べます。

気管支喘息だのアレルギー性鼻炎だの、胎児や乳児の発達に影響があるだの、認知症の誘因だの、太るだのといろいろと噂されていますが、その最たる罪は、血中の悪玉コレステロールを増やすことです。

第2は、善玉コレステロールを減らすこと。

この逆張りダブルパンチの相乗効果で、心筋梗塞や脳卒中など循環器系疾患のリスクがデンジャラスです。

トランス脂肪酸は心臓に悪い、と覚えてください。←第2のポイントです。

それなのに……、なのかそれだからなのか、アメリカの死因の1位は、心臓疾患。←ここもポイント。

効果てきめんというか、だから言わないこっちゃないというか、WHOの警告の倍以上食べて、心臓病で死んでいます。

美味しそうな食事を前にして警告が耳に入らないアメリカ人は、国の禁止措置によってトランス脂肪酸撲滅に励んでいるわけです。

我慢できないから、無くしてしまえ! です。

一方、日本人の死因第1位は「がん」。

心臓病より「がん」をなんとかしてくださいよ、というのが日本です。

 

高級ホテルに巣食うマングース。マングースといえば、沖縄でハブ対策に投入されたのが有名ですが、わざわざ面倒なハブを食う理由もないので、ヤンバルクイナとかを食べていた奴らです。

高級ホテルに巣食うマングース。マングースといえば、沖縄でハブ対策に投入されたのが有名ですが、わざわざ面倒なハブを食う理由もないので、ヤンバルクイナとかを食べていた奴らです。

 

結局、トランス脂肪酸との付き合い方は、アメリカやカナダのようにが禁止された国では安心してなんでも食い、デンマークやオーストラリアやニュージーランドでのような一部の国では、パッケージの内容表示を確認。

ほかの多くの国では自主規制となりますが、たぶんこの原稿を書き終えたあと、ファストフードで昼飯を食うわけです。ポテトの照り具合やクリスピーさを堪能しながら。

いつの日か、我が家の死因が心臓病だったのか、がんだったのか、このサイトで発表できれば幸いです。

 

せめてマーガリンをやめてバターを食べとけって話もありますが、バターはトランス脂肪酸のみならず、飽和脂肪酸も多いのです。

飽和脂肪酸もまた、油の問題児です。

 

写真はイメージです。

 

あまりにも詳細を省いたために、蛇足を少々。

  • トランス脂肪酸は、天然ものと人口ものがあります。
  • 禁止されるトランス脂肪酸は、主要摂取源であるPHOsです。
  • トランス脂肪酸の摂取量は、アメリカ人の1日の食事量2000カロリー、日本人は1800カロリーで計算。
  • 日本人のトランス脂肪酸の摂取量は、総エネルギー摂取量の0.31%(食品安全委員会2012)
  • 2010年、厚生労働省は、トランス脂肪酸を欧米人並みに摂取する日本人もいると報告。
  • カナダのトランス脂肪酸の使用禁止は、2018年9月15日施行。
  • イギリスのトランス脂肪酸の規制は、摂取エネルギーの2%以内。
  • 大手のファストフードではトランス脂肪酸の含有量を減らすか、あるいは別の油に切り替えています。

 

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)
デザイナー。1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。出版社勤務、デザイン事務所、編集プロダクションなど複数の会社経営の後、2005年4月より建築家の妻と夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。世界中の生の健康トレンド情報をビジネスライフで連載中。