FOOD

ガーナチョコレートで、生活習慣病を予防。用を足すなら、トイレで。

世界中をめぐる著者が、現地の健康情報を毎週お届けします。

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西アフリカの旅は、思いのほか疲れます。
原因は、ビザ取り。祭日でもないのに大使館は休むし、スリッパと半ズボンは門前払いだし、書類は小文字で書くとやり直し。写真の背景は白だとか、微妙に贅沢です。
申請書類を1枚印刷しようにも、プリント屋は毎日停電。インクが薄くて読めなかったり、パソコンが古すぎてUSBを受け付けなかったりで、2~3時間かかるのは普通。これぞスローライフの極致、アフリカ。イラっとします。
ビザを申請しても冷たく拒否られることもあり、くどくどと説教を食らったり、そもそも意味のわからぬフランス語なので、ストレスは脱力級。
ルート作りがまた面倒なものでして、取得日数や費用を考慮しながらビザを取る順番を算段。内戦やテロや強盗を巧みに避けつつ、雨季や悪路やエボラやエイズに近寄らず。
もし1カ国でもビザを取得できなかったら、後戻りができない背水感。子泣き爺のようにのしかかるプレッシャー。ぜんぜん気が休まりません。
せめて宿にいるときぐらいはゆっくりと休みたいのですが、停電、断水、遅すぎるWi-Fi。
そして地味に攻撃的なハエ。
蚊に刺されるたびにマラリアに怯え、破れた網戸の前でため息をついています。

生活習慣病と便秘に効くチョコレート

イギリス連邦に属するガーナです。
英語圏なので、久しぶりに人間と話している気分を味わっています。これまでフランス語でしたから。
有名なガーナ・チョコレートのご当地版は意外に優れものでして、アフリカの酷暑でも溶けません。
その秘密は、溶けやすいバターを減らした成分。唾液をフル回転しても、口のなかでなかなか溶けず、ボソボソの歯ごたえ。しかも硬いです。
チョコレートに含まれるカカオポリフェノールの効能は、強い抗酸化作用が肌荒れや老化を防止。高血圧やガンなどの生活習慣病を予防します。
また豊富な食物繊維が、便秘に効果あり。
ちなみに普通のチョコレートは、ヨーグルトやハムと並んで、冷やされて売られています。

死亡原因の第2位は、下痢。

ガーナでは、もう日本ではほとんどお目にかかることのない、あの懐かしい風習を目にすることができます。
というか、嫌でも目にします。
ホント嫌です。
立ち小便。
たまに連れション。
ムスリムはしゃがんで用を足しますから、キリスト教率の高さが見える化しています。
ごく稀に、立ちションと座りションのコラボも目撃。キリスト教とイスラム教の融和ですね。さぞかし、十字軍も草葉の陰でお喜びのことでしょう。
現場が野山なら自然への水分補給もまた楽しからずやですが、商店街の人通りの多い道でさえ、ひと目をはばからぬ放水プレー。携帯中のながら族も珍しくありません。
これはもはや趣味趣向の問題ではなく、トイレ不足によるものと見ました。
世界におけるトイレなし人口は、24億人。トイレの蓋が勝手に開いたり閉じたりするご時世においても、まだ3人にひとりがトイレのない環境で暮らしているのです。そしてここは貧しいことにおいては、決して引けを取らないアフリカ。
ちなみにインドでは7億4000万人が、つまり国民の半数がトイレ難民です。

自宅にトイレのないインド人7億7400万人が一つのトイレの列に並べば、その長さは地球から月への距離に等しいか、それ以上になるかもしれない。これは19日の「世界トイレの日」を記念して同日に発表されたリポート「これは冗談ではない:世界のトイレ事情2015(It’s No Joke: The State of the World’s Toilets 2015)」が示したものだ。

英ロンドンに拠点を置く、水と衛生問題に取り組む非営利団体「ウオーターエイド」のリポートによると、一人のトイレ使用時間を最低4分とした場合、この列がなくなるまでの時間は最短で5892年となる。

(引用元 「トイレのないインド人、列の長さは月にまで」http://jp.wsj.com/articles/SB10589961604557044643904581367071748010488

 インドはやはりすごいのです。

 

 

キリスト教の台頭が激しいガーナですが、ムスリム同様、手で食べます。
汝の手は汚いからよしとけ、と思ったものですが、食堂には必ず、フィンガーボールならぬ薬缶とタライがあり、食事前に手洗いできます。
大人は食堂で手を洗うにしても、不衛生なのは子供。
立ちションや野○ソは深刻な感染症を招き、世界における子供の主な死因は、下痢。
低所得経済圏では、死亡原因の第2位なのです。

まずは記念日から。

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子供の笑顔は、トイレがあってのこと。

 

御多分に洩れず、トイレよりスマートフォンが普及してしまったガーナ。
SNSやゲームや動画にお金を使うより、隣近所でお小遣いを持ち寄ってトイレくらい作ればいいのにと思うのは、よそ者の余計なお世話ですが、ありました、そんな共同トイレ。
高さが150cmくらいの公衆電話のような木造の小屋。寂れた商店街のドブの上に鎮座しています。
天井はなく、壁は3方のみ。つまりドアがありません。
認めたくないけれど、公衆トイレです。
排泄物が道ゆく人から見えてしまうという、日本人なら号泣しかねない構造ですが、側溝の上なので多少は衛生的です。
雨が降れば……、のことですが。
プライバシーゼロのトイレとはいえ、多くの子供たちの命を救いますように。

どことなく臭い今回のレポートでしたが、ぜひこれだけはメモしてください。
10月15日は、「世界手洗いの日」。
「世界トイレの日」は11月19日です。

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)
デザイナー。1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。出版社勤務、デザイン事務所、編集プロダクションなど複数の会社経営の後、2005年4月より建築家の妻と夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。世界中の生の健康トレンド情報をビジネスライフで連載中。

 

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