FOOD

汚れは安全の印、生卵が熱いブルキナファソ。 手洗い禁止です。

世界中をめぐる著者が、現地の健康情報を毎週お届けします。

 

軽自動車でヨーロッパを横断し、その勢いでアフリカ大陸を転げているバガボンド夫婦です。

南アフリカの希望峰で折り返して日本まで戻るとなると、往復14万km。
10万km走行の熟年中古車だったので、メーターは24万kmを突破しそうです。
そんなに走るんですかね、軽自動車って。
部品のないアフリカで故障したら、泣けますよね?
そんなことを考えると、お腹が痛くなるのです。

DSC_7000

バーの酒瓶ではありません。ガソリンの路上売りです。

メタボオヤジを殺す殺傷力。

西アフリカの内陸国、ブルキナファソです。
平均寿命が57歳。死亡原因の第2位がマラリア。それなのに豪快に破れた、窓の網戸です。
ひとつ蚊に刺されては1年命を削る思いで、ポリポリ手足を掻く毎日。
マラリア予防薬は、副作用が「死ぬより」怖くて飲めません。
嫌いなものを大量に食べ続ける……、悪夢にうなされるのです。

気温40度越えの首都、ワガドゥーグー。
暑気払いに肉でも食べたいのですが、マーケットにある青空肉屋の肉は、雲のように集ったハエの中。大腸菌O157やトリインフルエンザが心配で、見ているだけでお腹が痛くなります(→記事「ブルキナファソの肉にたかる黒い影。 怪我をしたら、ドクターウジ。」へ)。
肉を諦めて、卵にしました。
ところが、卵……。
熱いのです。
ゆで卵なの?ってくらいに熱いのです。
40度以上の気温で普通に棚置きですから、熱くて当たり前と言えば当たり前。
孵化していないだけでも喜ぶべきですが、サルモネラ菌って38度で大量増殖するので、ヤバい温度管理じゃないですかね。
この卵1個で、暑さにへばったメタボオヤジを殺すだけの殺傷力があると、メタボは思うわけです。
賞味期限はどこにも表示されてないし、食べて死ななければ期間内という自己責任のアフリカ。
やばいじゃん。
どんなに間違ってもTKG(卵かけご飯)は食べないことを固く誓って、買って帰ります。
1個17円。
最貧国のブルキナファソにあって、日本とさほど変わらぬお値段ですから、高級食材の部類です。

DSC_6960

毎日食べていたオクラ。日本の2倍の大きさ。写真の量で、20円。

アルツハイマーに効いても、頭髪に悪影響?

サルモネラ菌が見えそうな、熱い卵。小ぶりです。日本のSサイズ以下。
卵のサイズは、若い雌鶏が産むと小さく、老いるにつれて大きくなるので、そうとうヤングなお母さんです。
殻の色は、白。
多少薄汚れていますが、鶏は肛門から卵を産むので文句を言う筋合いではありません。
手洗いは禁止です。サルモネラ菌は水に混じって卵の中に染み込むので、逆効果なのです。汚れは、安全の印です。
また日本では、茶色い殻は栄養豊富と信じている一派がいますが、デマです。白でも茶でも栄養的には同じです。

熱したフライパンの上で、疑惑の卵を割ります。
黄身は、限りなく白に近い、元気のないレモン色。
日本では、濃い黄身は栄養豊富と喜ぶ人たちがいますが、それもまたデマ。黄身の濃淡は餌の違いで、栄養的には同じです。
付け加えると、卵を食べ過ぎるとカラダに悪いという噂もまた、ウサギの実験による都市伝説です。
1日10個を5日間食べ続けても、1日3個を2週間食べ続けても、コレステロール値はほとんど変わりません。
ただ、食べ過ぎは頭髪に悪いとの噂があるので、薄毛の人は気をつけてください。

フライパンの上の卵白を眺めると、すっきりとした透明。
ってことは新鮮?って思わなくもないのですが、新鮮な卵白は炭酸ガスで白く濁っているものなので、フレッシュじゃないです。
頼みの綱は、白いカラザ。細菌を殺すリゾチームが含まれています。見た目がグロいのでいつもは邪険に扱いますが、今回ばかりは命がけで頑張っていただきたいと願いを込めて、焼かせていただきます。
ガッチガチに焼いた、固焼き卵焼きの完成です。
ぼやぼやしていると菌が復活しかねませんから、速攻で食べました。
悪玉コレステロールを減らす卵ですが、ストレスが増えた気がします。

ちなみに卵は、ビタミンCと食物繊維以外のすべての栄養素が詰まった宝箱です。

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)
デザイナー。1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。出版社勤務、デザイン事務所、編集プロダクションなど複数の会社経営の後、2005年4月より建築家の妻と夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。世界中の生の健康トレンド情報をビジネスライフで連載中。