FOOD

健康的な食事に一日30品目は本当に必要なのか?

「忙しい人の世界一シンプルな「食」習慣」(著:杉本恵子)より

 健康と食事気にしていますか?

Woman Checking Waistline

普段、健康に関してどのくらいの関心をお持ちでしょうか?10代の後半では、何をいくら食べても太らなかった人が、社会人になって何年かすると、なんだかお腹まわりが気になり始めたり、健康診断の結果で脂質がいつもオーバーしたりするようになりがちですよね。

気をつけよう!と意識している人も多いことでしょう。適度な運動を始めたり、食生活を見直して変えていったりすることです。

ストレスを感じるような食事は間違い

健康になるために食生活を変えていくというと、とにかく身体にいいものだけを、たくさん摂らなければいけないというイメージを持たれるかもしれません。

たとえば一日の食事で、ある食材を摂取してしまったら、もうその食材は食べられない。好きなものだけれど健康のために我慢しないといけない。そんなふうに考えてしまうと、食事そのものが楽しくなくなってしまいます。

いくら健康のためとはいえ、それでストレスを感じるような食事は間違っています。いちいち食べた食材を数えたり、カロリーをメモしながら食べる必要なんて本当はないと思うのです。

でも世間では「一日30品目は摂りましょう」と言われてましたよね?と質問されることもあるのですが、実は「一日30品目」という数字に根拠はありません。

一日30品目と言われだした由来

Full length portrait of a male teacher holding a wand and book isolated on white background

1985年に当時の厚生省(現厚生労働省)が提唱した「健康づくりのための食生活指針」で「一日30食品を目標に」と示されたことがはじまりとなり、そこから「30品目」という数字が拡がっていきました。

ただ、このとき「どんな食材を、どのように食べれば健康にいいのか」という点には触れられていなかったため、とにかく多種類の食材を食べることが健康に良いことだという考えが生まれたのだと思います。

その後、生活習慣病の増加に対応して過剰栄養摂取の防止なども踏まえ、2000年に改定された「食生活指針」からは「30品目」という数字は削除されました。

実際の食生活で、日本人がよく摂取する「味噌汁」なども一日1回食べ、もうカウントできないとなると、本来は健康にいいものが摂れなくなってしまいます。

これはダメ、あれはダメが増えると「食と健康」を考えること自体がストレスになってしまいますね。

おすすめは5色健康法

Balanced diet, cooking and organic food concept on a rustic wooden table. Top view

ストレスにならない簡単にできる方法として、おすすめしたいのが「5色健康法」です。食習慣を「黒・緑・黄・赤・白」の見た目で判断し、毎食ごとに5色のバランスを考えて摂るだけ。今日から楽しく実践でき、たとえコンビニ・ライフでも、改善が継続できるものです。

具体的には例えば、赤は「肉類、ハム、赤身の魚、トマトやニンジンなどの赤い野菜」、白は「ごはん、パン、牛乳、豆腐」、黄色は「納豆、ゆばなどの大豆製品、カボチャ、サツマイモ、トウモロコシ、柑橘類」。

緑は「ホウレン草、ブロッコリー、レタス、キウイ、枝豆」黒は「ワカメ、昆布、ヒジキなどの海藻類、シメジやシイタケなどのキノコ類、黒ゴマ、黒豆」と色分けしています。

えっ、そんなふうに見た目で決めていいんですか?と思われるかもしれませんが、この5色健康法は栄養学などの「学問」ではなく、バランスよく食べるために自分が食べている食材を意識しやすくするための方法なので、見た目で判断して構わないのです。

「5色健康法」を取り入れていると、難しいことを考えなくても自然に食のバランスがとれるようになります。

食材から栄養をとると相互作用がおきる

サプリメントに依存するのではなく、できるだけ多くの種類の食材を摂り入れたほうがいいという考え方も間違っていません。なぜなら、サプリメントでビタミンCならそれだけというように、特定の栄養素を補うことはできても、栄養バランスという点では食材の力には負けるからです。

たとえばホウレン草なら、ビタミンだけを見ても体内でビタミンAになるβカロテン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK、などさまざまな栄養素が入って、それらの相互作用で身体に良い働きをしてくれます。

つまり、サプリメントに頼るよりも、食べる食材の種類が多いほうが身体と健康にはプラスになるということです。

Japanese ramen pork soup noodles traditional cuisine

ラーメンを食べたときも、麺とチャーシュー、スープだけなら塩分や脂質をどうしても多く摂ることになりますが、そこにニラやハクサイなど、塩分を排出する働きのあるカリウムを多く含んだ野菜を一緒に摂ることで、栄養バランスが調整されます。

「30品目」の数に縛られない

食材の組み合わせによって、健康に良いもの悪いもののコントロールがしやすくなる。この考え方をわかっていれば「30品目」という数に縛られる必要はないわけです。

日本人は基本的に真面目なので「こうしたほうがいい」というものを数字で示されると、その通りにやろうとして自分を苦しめることがあるので、そこは少し気楽に考えてもらってもいいのかなと思うのです。

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