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「疲れたら糖分補給」はウソ?|最高の体調-パレオな男に聞いてみた-

Written by 鈴木祐

「最高の体調を手に入れて、もっとパフォーマンスを高める」には? 『最高の体調』著者・鈴木祐氏(愛称:パレオな男)のアドバイスをもとに、ビジネスライフ社長がさまざまなミッションにチャレンジしながら情報をお届けします。 第6回は「間食編」。空腹で気が散るときの対処法とは? 

■前回の記事はこちら

1日1kgの野菜で目指せ細マッチョ!ベストな食事タイミングは?|最高の体調-パレオな男に聞いてみた-

 「空腹がデフォルト」がいい理由

新宿センタービルMB1階「ZERO GYM SHINJUKU」にて語り合う小早川氏(左)と鈴木祐氏(右)

——前回「サラダファイト編」で「夜の食事を抜き、1日1食を目指す」という目標を定めた小早川社長(43)。その後の進捗報告会が「ZERO GYM SHINJUKU」で行われた。

 

鈴木「最近の調子はどうですか?」

 

小早川「今ですか? 夕食を抜く、または5時くらいの早い時間に夕食をすませる状態をしばらく続けています」

 

鈴木「まるでモデルみたいな生活ですね!」

 

小早川「いつもは12時近くまで飲んだり、仕事で夕飯が10時くらいになるんです。で、朝目覚めると疲労感が満載。

でも、早く夕食をすませた次の日っていうのは目覚めがいいんですよ。夕食が軽い分、朝におにぎりやパンを食べるようになりました」

 

鈴木「ちなみに空腹の時間はどれくらいあるんですか?」

 

小早川「だいたい12時間〜15時間くらいかな」

 

鈴木「12時間〜15時間ほど空腹の時間があるのなら、まあまあいいですね。

ちなみに16〜20時間ほど時間をとれると「プチ断食」になります」

 

——前回の会議では「まず12〜16時間の空腹」を推奨していた鈴木氏。「糖代謝(※1)の問題で1日3食の生活スタイルが適している人もいる」としながらも、やはり空腹時間はより長いほうが望ましいようだ。

 

小早川「僕は食べると眠くなるし、空腹の方がパフォーマンスが上がる。そもそも忙しくて昼食を食べている暇がないから、プチ断食に自然に近づくんだと思います」

 


※1:「糖代謝とは、食事として摂取したエネルギーを各臓器が消費して活動し、余分なエネルギーは飢えに備えて蓄え、必要なときに利用するというサイクルのことです」
引用: 健康長寿ネット – 公益財団法人 長寿科学振興財団


 

運動で空腹を忘れる

——プチ断食で心配なのは「空腹が気になって仕事に身が入らない!」という事態。空腹を回避するために「こまめに間食」するダイエット法も人気だ。

では、「断食」と「栄養補給」、どちらをとるべきなのか?

仕事柄、集中を切らすことができない小早川社長もその点が気になるようだ。

 

小早川「空腹でパフォーマンスが下がったり、思考停止してしまうときもありますよね。そんなときはどうすればいいんでしょう?よく『小腹が空いたら間食にチョコを食べるといい』と聞きますが……」

 

鈴木「小腹がすくとき、ですか。それ、実は栄養不足からくる空腹ではありません

 

小早川「えっ!」

鈴木「それ、栄養不足からくる空腹ではありません」小早川「えっ!」

 

——鈴木氏によると、16時間程度の絶食で感じる空腹は擬似的な空腹である場合が大半だという。

 

鈴木「いつものタイミングでメシが入ってこないと、『どうしたんだ、やばい』と脳がパニックを起こします。

決して栄養は不足していないのに、空腹に意識が向いてしまう。

そして、何か食べるまで脳の暴走は止まりません

 

——では、「擬似的な空腹」で何も手につかない時の対策法はあるのだろうか? 鈴木氏は「短時間の運動」がコツだという。

 

鈴木「HIIT(※2)のようなきつい運動をすると他のことなんて考えられませんよね。するといつの間にか空腹は収まります。おすすめは高速でスクワットを行う『スピードスクワット』。血流がよくなって目が覚めますよ」

スピードスクワットを実演する両氏。安定したフォームとスピードが必要だ

鈴木「要は一時的に気を逸らせればOK。運動だけでなく、ゲームで空腹から気をそらせるというデータもあります。(※2)

そもそも空腹なんて、そんなに長く続きませんよ! 実感としては5分も腹筋すればおさまります

 

小早川「たった5分! お腹が空いたからパワーが出ない、というわけじゃないのか……。

今度からお腹が空いたらまずスクワットやランニングをしてみます」

 


※2:HIITとは…「短時間で高負荷な運動→休憩」を繰り返すトレーニング法のこと。詳しくはこちら↓

■連載第3回「脳機能&疲労回復力がアップする筋トレとは?|最高の体調-パレオな男に聞いてみた-

※3:参考記事「テトリスを3分プレイするだけで、ダイエットができるらしいぞ」(パレオな男)


 

「パレオな男」の間食事情

——12〜15時間の断食をするようになったものの、飲み会などがある日にはうまくいかないことも多いという小早川氏。「プチ断食」継続にあたって、鈴木氏の間食事情を知りたい様子だ。

 

小早川「鈴木さんは一切間食をされないんですか?」

 

鈴木「16時間の間はお茶を飲んでるだけですね。

もう完全に慣れました。きっと脳が『こういうものなんだな』と納得してくれたんでしょう」

 

小早川「なるほど! 体よりもまず、脳を慣らすのか

 

鈴木「空腹っていうのは、体というより脳の警告アラームがなりやすくなっている状態。

狩猟採集民も朝食なしで昼過ぎまで狩りですから、体としては問題ないんです」

 

小早川「空腹になったらまず『誰かが脳内警報ボタンを押したんだな』とやり過ごす必要があるんですね」

 

——松尾伊津香著『一生太らない魔法の食欲鎮静術』によれば、食欲が収まらない人は「噛みたい」という欲求を食欲と勘違いしていることがあるという。鈴木氏はさらに「噛みたい、だけでなく『暇だ』という気持ちを食欲と勘違いしている場合もある」と続ける。

 

鈴木「ガムの売り上げが落ちたのはスマホが出てきたから、という説もある。以前は暇をつぶすためにガムを噛んでいたということなんでしょう。『退屈が嫌だ』というだけで何か食べてしまう。
空腹や退屈から気をそらすためにも、その場でガーッと運動するのが一番です」

 

糖質はやる気に直結しない

「甘味の摂取はやる気に直結しない」という研究データを紹介する鈴木氏

——「頭を使ったら、脳の栄養源である糖分をとるべき」という観点から間食をとる人も多い。しかし鈴木氏は糖分がすっからかんの人はなかなかいませんと一刀両断する。

 

鈴木「脳の栄養源が糖分であることは間違いない。でも、普通に暮らす分には足りているはずなんです。

最近はそもそも糖質がやる気を与えているのではないというデータも出ていまして。

やる気の元は味覚だというんです」

 

最近の研究では、やる気を出すためには必ずしも甘いものを飲み込む必要はないという。甘いものを口に入れてから吐き出し、口をゆすいだときにも十分に効果が見られた。

 

鈴木「『甘いものを摂取した』と味覚を騙すだけでいい。味覚だけで脳は納得します

 


■参考記事「甘いものを食べると気分が良くなる!ストレスが減る!はどこまで本当か?」(パレオな男)


 

小早川「言われてみると確かにそんな感覚はあるなあ。飴を一瞬なめて吐き出しても、舌にあまみが残って満足できそう。摂取する必要はないということですね」

小早川氏「舌にあまみが残って満足できそう」

 

間食編まとめ

・「プチ断食」目安は16〜20時間

・擬似的な空腹には5分の運動で対処

・頭脳労働に糖分補給は必須でない

 

自分だけのベストコンディションを模索する

——「睡眠」「運動」「メンタル」「食事」と、さまざまな角度から「ハイパフォーマンス」を目指してきた本連載。

約半年間体調と向き合ってきた小早川社長は、「必要なのは”自分にとってのベストコンディション探し”だと気づいた」という。

「必要なのは”自分にとってのベストコンディション探し”」と小早川社長

小早川「一番ベストなコンディションっていうのは人によって違うのかもしれない、と最近思っています。

世の中には『睡眠時間はどれぐらいとるべき』食事は何を食べるべき』運動はどのぐらいするべき』と、いろいろな指標がある。

でも、極端に差はつかなくとも当然個人差はあるわけです。まずはそれを見つけるということから始めたくて。

例えば今回なら、自分は朝食を食べなかったのが心地よかった。朝食はとるべきという話もあるけど、自分の中でベストな形は違うのかな、と

 

鈴木「それはその通りです。僕は基本的に統計データを参考にして、そこから自分用に生活をカスタマイズします

 

小早川「やはりそういうものですか!」

 

鈴木「そういうものです。

例えば『最適な食事』は人それぞれ。腸の状態によって食事の内容は全然違います。食事量は食事内容に野菜がどの程度含まれているかによって変わるし、人によっては食事量が多すぎて消化できないケースもあるだろうから。

最適な食事を見つけるにはとにかく試してみるしかないです

「とにかく試して、自分用に生活をカスタマイズする」と鈴木氏

——では、ベストコンディションを模索するコツはあるのだろうか。

 

小早川社長「あれこれ試して、なんとなく『自分にあってる』と思った方法を取り入れていけば『最高の体調』になれそうですよね」

 

鈴木「それでもいいのですが、より精度を高めたいなら『いいぞ』の感覚にある程度点数をつけてみるといいですよ。
ざっくりと10点満点で感覚に点数をつける

 

連載第3回「筋トレ編」でも「筋トレの成果を数値化すると続けやすい」とアドバイスした鈴木氏。著書『最高の体調』でも「作業をスコア化するだけでモチベーションアップが期待できる」としている。

この「数値化」には「自分のベストコンディションを探りやすくなる」という効果もあるようだ。

 

小早川「感覚の点数化ですか。例えば『今日の目覚めは9点』というような?」

 

鈴木「そうです。主観ですから数字にブレは出ますが、感覚だけに頼っているよりはマシ。ダイエットでもメンタル改善でも、初歩の初歩として点数化から始めてみてください」

 


■参考記事「つまらない仕事を「遊び」に変える科学的テクニック


 

連載開始から半年が経過し、自分なりの生活スタイルを見つけ始めた小早川社長。

「パレオな男」鈴木氏のアドバイスで社長の生活はどう変わったのでしょうか?

次回の「パレオな男に聞いてみた」ではこれまでの連載を振り返ります。

 


※今回の会場「ZERO GYM SHINJUKU」について詳しくはこちら↓

■「20分で2時間分の睡眠効果!ZERO GYM(ゼロジム)のパワーナップで”最強の昼寝”体験


 

About the author

鈴木祐 

サイエンスライター

サイエンスライター。1976年生まれ。慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアをテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。自身のブログ「パレオな男」で心理、健康、科学に関する最新の知見を紹介し続け、月間250万PVを達成。また、ヘルスケア企業などを中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演なども行っている。著書に『最高の体調』『科学的な適職』(クロスメディア・パブリッシング)他多数。

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