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デスクワーカー要注意!足のだるさ・疲れの原因は「下肢静脈瘤」かも【セルフチェックシート付き】

Written by 岡本慎一

足のむくみがつらい。いつもなんとなくだるい。疲れやすい。足がつってなかなか寝つけない。 そんな悩みの原因は、ただの運動不足や睡眠不足、年齢ではなく、「下肢静脈瘤」にあるかもしれません。 下肢静脈瘤とは足に不要な血液がたまり、コブや湿疹などが生じる病気。コブがなくても、むくみやだるさ、皮膚の変色として症状が現れる場合もあります。
実は、こうした「かくれ静脈瘤」になりやすい人にはある傾向があります。下肢静脈瘤血管内治療の専門医である岡本慎一先生に、注意すべき体質や生活習慣を教えていただきました。

30代の約半数が下肢静脈瘤

下肢静脈瘤は30代以上の半数に発症する可能性があり、かつ徐々に進行するので自覚しにくい病気です。どのような方が下肢静脈瘤になりやすいか、そしてどのような症状があれば下肢静脈瘤が疑われるかをこれからお話しします。「私にはコブはないよ」と言う方も、のちにご紹介するような症状に心当たりがないか考えながら読み進めてみてください。

要注意体質・生活習慣

(1)女性全般(特に妊娠・出産を経験した方)

出産経験のある女性の2人に1人が下肢静脈瘤を発症する(※1)と言われています。妊娠したときのホルモンの影響で静脈がやわらかくなることに加えて、腹圧の上昇が弁に負担をかけるため、静脈内の弁がダメージを受けやすく、発症リスクが高まるのです。

また、男性よりも女性の方が下肢静脈瘤になりやすいということが、データや全国の医院にかかっている患者さまの傾向からわかっています。ほかにも理由をあげるならば、女性の方が男性に比べて弁がもろくて弱かったり、筋力も弱く、筋ポンプ作用が働きにくかったりするためだと一般的に言われています。

(2)運動不足・肥満・血液の粘度が高い方

運動不足だと足の静脈の流れがとどこおります。筋肉が衰えると、筋ポンプ作用も弱まってしまいます。肥満そのものも、血中コレストロールが多く血液の粘度が高くなるため、下肢静脈瘤の原因になる可能性があると言われています。

(3)中高年の方

下肢静脈瘤は、年齢を重ねるほど発症しやすい。これは、先ほどデータでお見せしたなんぶとおりです。その理由は、加齢によって全身を構成している軟部組織(コラーゲンや弾性線維など)の強度が弱まるため、軟部組織でできている静脈の逆流防止弁が減ったりこわれたりするからです。また、筋肉量が減ることで筋ポンプ作用が弱くなるのも原因のひとつです。

(4)親族に罹患者がいる方

下肢静脈瘤の原因は、静脈の弁が機能不全をおこすからだとお伝えしましたが、この弁の強度には遺伝性があります。両親が発症している場合は、その子どもも弁が弱い傾向にあり、9割が発症する(※2)というデータがあります。両親は下肢静脈瘤じゃないから大丈夫、とは思わないでください。ご両親が足を見せないだけかもしれませんし、ご両親自身も下肢静脈瘤だと気づいていないだけかもしれません。

(5)立ち仕事をしている方

スーパーのレジ打ち担当や、狭い厨房やカウンターで調理する仕事、教師、警備員など、あまり動きまわらずに長時間立ちっぱなしの仕事をされている方は要注意です。足を曲げ伸ばしする動きがあまりないため筋ポンプ作用は働かず、立ちっぱなしなので重力の影響で静脈を流れている血液も心臓に戻りにくい状態になります。1日10時間以上立っている方は、重症化しやすいので特に注意してください。

(6)デスクワークをしている方

座ってさえいれば安心、というわけではありません。座っていても、足をほとんど動かさずに、ずっと同じような姿勢で仕事をしている方は注意が必要です。座っていても、重力の影響で血液が心臓に戻りにくいのは立っているときと同じ。足を動かしていないため、筋ポンプ作用が働きません。

(7)男性のビジネスパーソン

いつもズボンをはいている男性は自覚しにくいと先ほど述べました。足に少し違和感があっても、足の外観が多少変わっていたとしても、気づかなければどうしようもありません。気づいていたとしても、仕事が忙しくて病院へ行かない方もいらっしゃいます。ゆえに下肢静脈瘤となり、悪化させてしまう男性の方が多いのです。

 

静脈瘤セルフチェック

ここで、セルフチェックをしてみましょう。最初の「外観チェック」で確認すべき部位をならべています。次の「症状チェック」と「生活・行動・環境チェック」 では、当てはまるものが多いほど、下肢静脈瘤の可能性が大きくなります。

立ち上がってすぐのときはコブやむくみが現れにくいため、1〜2分ほど立ってから鏡でチェックしましょう。姿鏡や手鏡を使って確実に観察するようにしてください。

(1)外観チェック

①確認部位

・ふくらはぎ

・くるぶし

・膝の裏側

・足の外側

・太ももの内側

・お尻と足の境界部分

②確認項目

・血管がコブのように浮いている

・細い血管がやたら目立つ

・くるぶしなどが黒ずんでいる

・足のむくみに左右差がある

・足の皮膚の色に左右差がある

・すねなどを押してできた凹みがすぐに戻らない

・アキレス腱がくっきり見えない

③上半身に比べると、下半身が太い

(2)症状チェック

①立っていると足がだるくなる

②足がむくみやすい

・午前中は平気だった靴が夕方になるときつい

・靴下のゴム跡がなかなか消えない

③夜中から明け方に足がつる(こむら返り)

④足にしつこいかゆみや湿疹が出る

⑤座ると足を組みたくなる

(3)生活・行動・環境チェック

①仕事で長時間立ちっぱなし、または座りっぱなし

②運動不足、もしくは肥満である

③両親や近親者に下肢静脈瘤の人がいる

④妊娠・出産の経験がある

⑤脂っこい食事、味の濃い食事、スナック菓子などを好む

⑥週に3回以上アルコールを飲む

 

 
セルフチェックの結果はいかがだったでしょうか。当てはまるものが多く、青ざめてしまった方もいらっしゃるかもしれません。
 
でも、安心してください。下肢静脈瘤は初期であれば怖い病気ではありません。ですが、一度発症してしまうと自然治癒しないということは忘れないでください。できてしまったコブや肌の変色を完全に治療するのはむずかしく、多少は痕が残ることもあります。病状が進行するほど外見の治療はむずかしくなってしまいます。
 
また、症状から怪しいと思っても、実際にかくれ静脈瘤ができているかどうかはエコーしてみないとわかりません。ほかの病気かもしれませんし、本当にただの加齢や運動不足などから来るだるさやむくみの可能性もあります。それゆえに、早めの検診・早めの治療がおすすめです。
 

※1出典 平井正文、牧篤彦、早川直和 妊娠と静脈瘤 静脈学 255-261 1997
※2出典 Gundersen J, Hauge M. Hereditary factors in venous insufficiency. Angiology. 20:346-55 1969


書籍紹介

あなたの足、かくれ静脈瘤ではありませんか?

 

足のむくみがつらい。いつもなんとなくだるい。足がつってなかなか寝付けない。このような症状に悩まされているとしたら、あなたは「下肢静脈瘤」かもしれません。少し詳しい方であれば、「静脈瘤といえばコブがあるはず」と思うかもしれませんが、実は見た目ではほぼわからない静脈瘤(本書では「かくれ静脈瘤」と呼びます)もあります。そして日本人の10人に1人は発症すると言われているのです。

本書では、下肢静脈瘤を専門とするクリニックを開院し、2年にわたりミス・ワールド日本大会の公式ドクター兼審査員も務めた著者が、下肢静脈瘤の治療の方法や悪化を防ぐための対策をご紹介します。

岡本慎一『あなたの足、かくれ静脈瘤ではありませんか?』目次

第1章 体のサインから「かくれ静脈瘤」を見つけましょう

・下肢静脈瘤とは
・ 30歳以上の約半数が下肢静脈瘤の事実
・こんな体質・生活・職業の方は要注意…他

第2章 下肢静脈瘤ってどんな病気?

・ 筋ポンプ作用がなぜ弱まるのか
・ 8つのステージでわかる、下肢静脈瘤の進行・重症具合…他

第3章 自分でもできる下肢静脈瘤の対策とは?

・下肢静脈瘤にならないために考えるべきこと
・腹式呼吸によって静脈還流の効果を高める
 ・弾性ストッキングの効能と使い方…他

第4章 医療機関で受ける下肢静脈瘤の治療

・ 症状に応じて治療方法を選びましょう
・早期治療のすすめ…他

About the author

岡本慎一 

医学博士・赤羽静脈瘤クリニック院長

医学博士。京都府立医科大学を卒業後、同附属病院整形外科に勤務。2012年に京都府立医科大学大学院を卒業し、2014年2月には、日本人の10人に1人が発症するといわれる下肢静脈瘤を専門とした赤羽静脈瘤クリニックを開院。「足の不調に悩まされず、毎日を楽しく過ごす手助けをしたい」という思いで日々治療にあたる。2018年1月、医療法人社団康静会の理事長に就任。2018年4月、金沢静脈瘤クリニックを開院。下肢静脈瘤血管内治療の専門医・指導医として、最先端医療に携わっている。下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医、日本脈管学会 脈管専門医、日本整形外科学会 専門医、弾性ストッキング・コンダクターの資格を持つ。2016年「ミス・ワールド」日本大会の公式ドクター兼審査員。

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