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足のむくみ対策に!下肢静脈瘤 改善ストレッチ&マッサージ【オフィスで&寝る前にも】

Written by 岡本慎一

足のむくみがつらい。いつもなんとなくだるい。疲れやすい。足がつってなかなか寝つけない。 そんな悩みの原因は、ただの運動不足や睡眠不足、年齢ではなく、「下肢静脈瘤」にあるかもしれません。 下肢静脈瘤とは足に不要な血液がたまり、コブや湿疹などが生じる病気。コブがなくても、むくみやだるさ、皮膚の変色として症状が現れる場合もあります。
こういった「かくれ静脈瘤」による不調を改善するにはどうすればいいのでしょうか。その場でできるストレッチやマッサージ方法を、下肢静脈瘤血管内治療の専門医の岡本慎一先生に教えていただきました。

立ち・座り仕事でもできる体操をし、長時間同じ姿勢を避ける

立ちっぱなしや座りっぱなし、特に1日に8時間以上同じ姿勢で仕事をしている方は、足の筋肉をあまり使わないため筋ポンプ作用が働かないことになります。そのため、足に血液がたまりやすく、30代で下肢静脈瘤になってしまう方が多いのです。

若い方でも、レジ作業や警備員といった立ち仕事を続けるのがつらいという方がいらっしゃいます。それはもしかしたら体力不足ではなく、下肢静脈瘤が原因かもしれません。

立ちっぱなしや座りっぱなしが足に悪いといっても、そう簡単には環境を変えられないことも多いでしょう。そういう方には、仕事中でもできそうないくつかの体操をご紹介しますので、「これだったらできるな」というものをぜひやってみてください。

(1)その場でできる、つま先立ち体操

これは、歩きまわるスペースがなくても手軽にできます。

背筋をのばして立ったら、頭のてっぺんから天井に向かってひっぱられるようなイメージで、背伸びをしながらつま先立ちをして、またゆっくりと戻します。これを10回繰り返しましょう。

この体操はふくらはぎの筋肉をしっかりと動かせますので、ひざから下の筋ポンプ作用を働かせる効果があります。

お店のレジスペースのなかなど、立ちっぱなしの仕事の合間でもかんたんにできるはずです。ただし、人によってはバランスを崩す可能性があるので、テーブルや壁に手を添えながらやるのが望ましいでしょう。

(2)座っておこなう、足首の体操

次は、イスに座っておこなう体操です。まず、イスの背もたれにしっかり背中をあずけて、両足を肩幅程度に開き、ひざを伸ばして前方に投げ出てください。そうすると足のかかとだけが床についた状態になります。足首が自由に動く位置にかかとを置くようにしてください。

そして、つま先を思いっきり手前に引き上げて(アキレス腱を伸ばす感じ)、力を抜く。この動きを「背屈運動」というのですが、これを両脚それぞれ10回ずつ3セットほどやってみましょう。この動きは主にふくらはぎを動かす運動になります。

次に先ほどと同じ体勢で、つま先で円を描くようにして足首を回します。これを外回し・内回し、5回ずつ3セットやってみましょう。こちらは足首、くるぶし周りの運動になります。

どちらも深呼吸を同時におこなうと、呼吸の静脈還流の働きが合わさって効果的です。

(3)座っておこなう、逆自転車こぎ体操

先ほどと同じ体勢から、自転車のペダルをこぐのを巻き戻すような動作で、ひざを自分の胸の方へと近づけるように持ち上げてゆっくり元の位置へ戻す動きを繰り返します。左右5回ずつを1セットとして3セット程度がいいでしょう。

太ももなどの筋肉を動かせるのが特徴ですが、オフィスなどでやるには少し目立ってしまうかもしれませんので、できる環境の方はやってみましょう。

ポイントはいずれも、ふくらはぎの筋肉をしっかり使うことです。筋肉を使うことがポンプ作用となり、足にたまった余分な血液を上に押し上げてくれます。ご紹介したような体操をするのがむずかしい場合でも、自分ができる運動を無理のない範囲でトライしてみてください。目安として1時間に1回程度がおすすめです。

 

足のむくみ・こむら返りに!対策とマッサージ

足がよくむくんだり、つったりする症状がある方に向けて、改善策をいくつかご紹介します。

(1)デスクワークでは「足台」を、寝るときには「座布団1枚」を使う

下肢静脈瘤はそもそも、足が心臓より低い位置にあり、血液が重力に逆らって心臓まで戻るのがむずかしいために起きる症状です。ですからその対策として、足を高い位置に置けば症状が改善するのは想像しやすいかと思います。立ちっぱなしや座りっぱなしの方は、可能ならば足を上げて休憩を取るようにしてください。

足をしっかり上げられるような環境になくとも、足もとに足台を置いて少し高くしておくだけでもかなり楽になります。また、少し行儀は悪いですが、足を組んだり椅子の上であぐらを組んだりしても、足のだるさをやわらげることができます。あぐらを組むのはちょっと抵抗があるという方でも、足を組むくらいは大丈夫かもしれません。職場などで周りの目が気になる場合は、下肢静脈瘤に対する対処法であることを一言伝えると理解してもらえると思います。

寝るときには、足の下に座布団を1枚敷くと、心臓への血液の戻りがよくなり、むくみや足のつり(こむら返り)が起きにくくなります。

ただし、昼間に大きな負担が足にかかっていた場合、夜の対策だけでは症状が緩和されないこともありますので、昼間の対策のほうが大切だと覚えておいてください。

(2)マッサージで血流促進

ふくらはぎや太ももを手のひらで心臓の方へ向かってさするマッサージは、足のむくみやだるさをやわらげるのに効果的です。足でうっ滞している血液やリンパ液の流れをうながすからです。

両手で足首辺りをはさむか包むようにして、そのまま上へとさすりながらふくらはぎ、ひざ、太もも、足の付け根まで手を動かします。また、リンパ節が集中しているひざ裏やそけい部(太ももの表側の付け根)をさすってあげるのもいいでしょう。片足で3〜4回程度、次に反対の足も3〜4回程度おこない、また最初の足に戻る、これを3回繰り返すと十分な効果が得られます。

なお、力を入れ過ぎる必要はありません。逆流している静脈は表面にあるので、ほどほどの力でも十分効果があります。逆に力をいれすぎてしまうと、マッサージが心理的におっくうになって、続かなくなってしまうかもしれません。

マッサージをおこなうタイミングとしては、イスに座ってデスクワークの合間にやるもよし、立ち仕事の合間にやるもよし、入浴中にやるのでも構いません。さらに、ほかの体操と組み合わせておこなえば、効果が高まります。

(3)弾性ストッキングなどの着用

運動やマッサージがむずかしいという方でも心配はありません。足を適度に締めつける「弾性ストッキング」を着用することで、足の血流を改善する手段があります。サポーターなども同じ用途で使えます。

しかし、この手段は知識がない状態でやってしまうと、場合によっては不必要に足を締めつけてしまって悪化したり、着用し過ぎて足がかぶれたりするなどの弊害もあります。可能ならば、まずは医院で検査・診断を受けて、医師に弾性ストッキングの適切な着用方法をしっかり教わったうえで、無理ない範囲での使用をおすすめします。

適切な使い方をしっかり理解しておけば、ご自分で弾性ストッキングを使い続けることができ、むくみやだるさの改善、下肢静脈瘤の悪化防止に役立つでしょう。


書籍紹介

あなたの足、かくれ静脈瘤ではありませんか?

 

足のむくみがつらい。いつもなんとなくだるい。足がつってなかなか寝付けない。このような症状に悩まされているとしたら、あなたは「下肢静脈瘤」かもしれません。少し詳しい方であれば、「静脈瘤といえばコブがあるはず」と思うかもしれませんが、実は見た目ではほぼわからない静脈瘤(本書では「かくれ静脈瘤」と呼びます)もあります。そして日本人の10人に1人は発症すると言われているのです。

本書では、下肢静脈瘤を専門とするクリニックを開院し、2年にわたりミス・ワールド日本大会の公式ドクター兼審査員も務めた著者が、下肢静脈瘤の治療の方法や悪化を防ぐための対策をご紹介します。

岡本慎一『あなたの足、かくれ静脈瘤ではありませんか?』目次

第1章 体のサインから「かくれ静脈瘤」を見つけましょう

・下肢静脈瘤とは
・ 30歳以上の約半数が下肢静脈瘤の事実
・こんな体質・生活・職業の方は要注意…他

第2章 下肢静脈瘤ってどんな病気?

・ 筋ポンプ作用がなぜ弱まるのか
・ 8つのステージでわかる、下肢静脈瘤の進行・重症具合…他

第3章 自分でもできる下肢静脈瘤の対策とは?

・下肢静脈瘤にならないために考えるべきこと
・腹式呼吸によって静脈還流の効果を高める
 ・弾性ストッキングの効能と使い方…他

第4章 医療機関で受ける下肢静脈瘤の治療

・ 症状に応じて治療方法を選びましょう
・早期治療のすすめ…他

 

About the author

岡本慎一 

医学博士・赤羽静脈瘤クリニック院長

医学博士。京都府立医科大学を卒業後、同附属病院整形外科に勤務。2012年に京都府立医科大学大学院を卒業し、2014年2月には、日本人の10人に1人が発症するといわれる下肢静脈瘤を専門とした赤羽静脈瘤クリニックを開院。「足の不調に悩まされず、毎日を楽しく過ごす手助けをしたい」という思いで日々治療にあたる。2018年1月、医療法人社団康静会の理事長に就任。2018年4月、金沢静脈瘤クリニックを開院。下肢静脈瘤血管内治療の専門医・指導医として、最先端医療に携わっている。下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医、日本脈管学会 脈管専門医、日本整形外科学会 専門医、弾性ストッキング・コンダクターの資格を持つ。2016年「ミス・ワールド」日本大会の公式ドクター兼審査員。

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